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[P48-01] High output フォンタン患者の臨床像についての検討
Keywords:Fontan、high output、遠隔期
背景:フォンタン術後患者の中にFick法での算出にてhigh output (cardiac index 5.0以上)を呈する症例が存在する。これらの多くはむしろ心不全症状が強く、臨床所見とカテーテル検査結果が乖離を示すが、この成因についてはこれまで十分な検討がなされていない。そこで、“CIが5.0以上、且つNYHA心機能分類が2以上”を満たす群をinappropriate high output Fontan patient (IHOF)群と定義し、その臨床像および背景について検討を行った。目的:IHOF群の臨床像を明らかにすること。方法:静岡県立こども病院にて1994年4月から2016年1月の間にフォンタン術後カテーテル検査が行われた318人を対象として検討を行った。結果:フォンタン術後患者の中でCIが5.0以上の患者は18名おり、その中でIHOF群の患者は9名であった。疾患の内訳はHeterotaxyが3例、AVSDが3例、単心室が4例、HLHSが1例であった。IHOPを除くFontan患者309名のCIおよび中心静脈圧(CVP)はそれぞれ、平均CI=2.2(SD=0.93)、平均CVP=12 (SD=1.9)。一方、IHOF群における平均CI = 6.93 (SD 2.3)、平均CVP=15.22 mmHg (SD=3.5)であり、いずれも有意に高値であった。IHOF群では全症例が体静脈―肺静脈短絡(VVS)や肺動静脈瘻(PAVF)といった右左短絡を有していた。考察:IHOF群にはPAVFや巨大なVVSを合併している症例が含まれる傾向にあった。これらの群における主心室のEDPも高い傾向を示しており、high outputに心室が適応できていないと考えられる。IHOF群においては循環平衡が崩れることにより前負荷と心機能のミスマッチが起こっていると推察され、新たな病態と考えられた。