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[P48-04] 圧波形解析型心拍出量モニタリングシステムを使用したFontan循環のドブタミン負荷試験解析
Keywords:Fontan、PA index、PiCCO
【背景】Fontan循環では二心室循環と比べて心拍出量が低く運動負荷時の増加も乏しいが、その程度については房室弁逆流、肺動脈圧などの条件に大差なくとも症例ごとの差が大きい。【目的】心拍出量を心機能の主要指標としてFontan術後患者における循環動態の良否を検討。【方法】術後評価のカテーテル検査施行時にドブタミン(DOB)負荷試験を行い心拍出量を圧波形解析型システム(PiCCO)により計測。【結果】対象期間にカテーテル検査を施行した20人のFontan術後患児から著しい房室弁逆流や体肺側副血行、心室収縮不良や肺動脈狭窄など一般的に明らかにFontan循環に不利と考えられる要因を持つ2名を除いた18名を解析対象とした(年齢8.5±8.7才、術後3.1±4.4年)。DOB負荷試験により心拍数、血圧、一回心拍出量、心係数(CI)が明らかに増加した(p<0.01)一方、心室の拡張末期圧は減少した(p=0.014)。安静時CIとDOB負荷時の最大CIはともに安静時のSVRIに負の相関関係を示した(ともにr=-0.5、p<0.05)。肺動脈造影より得られたPA indexは安静時CIと負荷時最大CI双方に相関がみられた(r=0.59、0.57、p<0.05)。【考察】Fontan循環において、体血管抵抗が高いことは心拍出量が少ないことへの適応と考えられている。静脈にプールされる血液の予備量(venous capacitance)も少なく、Fontan循環では全体をコンパクトにして循環を維持している。そのような中、心拍出量を効率的に改善するのは難しい問題で房室弁逆流や肺動脈狭窄などの調節可能な要因が無ければFontan循環の良否はすでにその完成時点で決しているともみえるが、PA indexとCIが正の相関をしたことはFontan到達までの肺の条件が術後の心機能を規定する一因である可能性を示唆する。