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[P49-03] 成人先天性心疾患に合併した難治性腹水患者に対する外来管理を目指した腹水ドレナージの工夫
Keywords:成人先天性心疾患、腹水、ドレナージ
【背景】先天性心疾患に対する治療戦略の改善に伴い,成人期に達する症例は著増傾向にあり,近年その管理の重要性が注目されるようになってきている。また,疾患や社会的背景が多様であり,個々のニーズに応じた治療を考慮しなければならない。しかし末期重症心不全での診療経験は少なく,その臨床実績を研鑽することが重要である。今回,成人先天性心疾患における末期重症心不全の難治性腹水に対し,患者ニーズに合わせた腹水ドレナージ法の選択と患者の満足度についてまとめ,検討したので報告する。【対象・方法】2012年1月から2016年1月までに当院で難治性腹水に対し腹水ドレナージを行った先天性心疾患を有する6例が対象で,年齢は中央値35.5(31-57)歳,Fontan術後が4例,二心室修復術後が2例で,全例自宅療養を希望していた。ドレナージはカテーテル留置法(C)と穿刺ドレナージ法(P)の2種類を行った。C法はカテーテル留置後のドレナージは簡便になるが,人工物が留置されるため感染のリスクもあり,入浴が制限される。P法は感染のリスクは少ないが,その都度穿刺するため侵襲度が高く,入院が必要となる場合がある。療養スタイルの希望に応じてどちらかのドレナージ法を選択した。ドレナージ前後の症状の変化,ドレナージ法選択の理由,自宅療養の可否を検討項目とした。【結果】C法が5例,P法が1例であった。症状は腹部膨満が6例,腹痛が1例,呼吸苦が1例であった。ドレナージ後,全例で症状改善を認めた。また,C法を選択した理由については,ドレナージ回数の増加が3例,遠方からの通院が1例,侵襲的処置への抵抗が1例であった。P法を選択した理由は,人工物への抵抗感や入浴希望が挙げられた。ドレナージ後,自宅療養可能であったのは5例であり,患者満足度に寄与できた。【まとめ】成人先天性心疾患の末期重症心不全の難治性腹水患者において,患者ニーズに合わせた腹水ドレナージ法の選択は個々の症例の満足度向上に寄与した。