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[P49-05] 成人先天性心疾患患者においてサルコペニアを意識した栄養管理は重要である
Keywords:成人先天性心疾患、サルコペニア、栄養管理
【背景と目的】成人先天性心疾患患者は筋肉量が少ないが,栄養摂取量についての報告はされていない.外来通院中の成人先天心疾患患者に対し,食物摂取頻度調査(Food Frequency Questionnaire;以下FFQ)を行い,身体組成検査でサルコペニア症に陥った患者とそれ以外の患者の身体組成と摂取栄養量を比較した.【方法】2015年1月29日~2月10日に200名の患者に対しFFQを郵送し回答を得た.身体組成は2014年4月~2015年4月までの1年間のデータを使用した.骨格筋指数(SMI;skeletal muscle mass)=四肢筋肉量(kg)/身長(m)2が男性7.0kg/m2未満,女性5.8kg/m2未満をサルコペニア症とした.【結果】回答数113件(回答率57%)男性35人(平均年齢37.5±14.4歳)摂取エネルギー2,207±250kcal,蛋白質87.0±6.1g,食塩10.6±2.4g,女性77人(平均年齢36.6±12.5歳)摂取エネルギー1,829±91kcal,蛋白質73.5±5.5g,食塩9.7±0.6g.平成25年度国民栄養調査と標準体重あたり栄養量比較では体重あたりのエネルギーと蛋白質摂取量が有意に高く,食塩摂取量は差がなかった.サルコペニア群vs非サルコペニア群との比較では体格や筋肉量は低値で(p<0.01)浮腫率は高かったが(p<0.05),体脂肪率と内臓脂肪面積に差はなかった.国民栄養調査との比較では標準体重あたりエネルギー,蛋白質摂取量は男女ともにサルコペニア群が最も多く,食品群別摂取量の比較ではサルコペニア群は乳製品と野菜の摂取量が多く,芋類・肉類・卵類が少なかった. 【考察】成人先天性心疾患患者の筋肉減少は通常以上にエネルギー・蛋白質を摂取しているにも関わらず,それを上回る肝うっ血や異化亢進の影響が大きいためか,若年でもサルコペニアを来たしやすいことが示唆された.今後は筋肉維持を視野に入れた栄養管理行うことが必要と考えられる.