第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患5

ポスターセッション(P53)
成人先天性心疾患5

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
前田 潤(慶應義塾大学医学部 小児科)

P53-01~P53-05

13:50 〜 14:40

[P53-01] カテーテル検査中に生じた冠動脈解離に対してステント留置を行い救命した修正大血管転位の成人例

水野 将徳1, 都築 慶光1, 金剛寺 謙2, 中野 茉莉絵1, 長田 洋資1, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 循環器内科)

キーワード:成人先天性心疾患、冠動脈、カテーテル治療

【はじめに】複雑心奇形は冠動脈走行が通常と異なっていることがある。また成人期までチアノーゼが残存している患者の冠動脈は拡張し血管壁が脆弱になっていることがありカテーテル検査時に注意を要する。冠合併症が生じた場合、冠動脈血行再建に関して小児循環器科医だけでは迅速な対応ができないことがある。今回我々はACHD患者の診断カテーテル中に生じた冠動脈解離に対し循環器内科医と共同して迅速にPCIを行い救命できた症例を経験した。【症例】29歳男性。幼少時に修正大血管転位、心室中隔欠損、大動脈離断、動脈管開存と診断されたが未治療で経過観察されていた。今回は肺高血圧と血行動態の評価目的に診断カテーテル検査を施行した。右橈骨動脈から4Fr.のpigtailカテーテルを挿入しアプローチした。右室に挿入しようとした際pigtailカテーテルが左冠動脈内に迷入し、直後から胸部不快感と心電図上右側胸部誘導を中心にST上昇が認められた。冠動脈造影を施行すると回旋枝に冠動脈解離が生じていた。直ちに循環器内科医に応援を要請し、カテーテル治療を開始した。ガイドワイヤーはASAHI SION blue®を使用し、血管内超音波で真腔内にワイヤーがあることを確認。その後S-S stent 4×18 mmを冠動脈AHA分類#13に留置した。しかし確認造影で#13末梢の造影遅延を認めたため、さらに#13, #15にPROMUS ElementTM 38×3.5 mmを2個留置した。その後の造影では正常な冠血流を確認でき、明らかな後遺症なく終了した。【考察】今回のような冠合併症は循環器内科医のほうが経験豊富であり、直ちに協力を仰ぐことで迅速に対応できた。ACHD患者のカテーテル検査は冠動脈を確認する機会が増えるため、冠動脈のトラブルが生じることもあるであろう。ACHD患者のカテーテル検査は診断目的のみの検査であっても循環器内科医のバックアップが望める体制で行われるべきである。