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[P53-04] タダラフィル投与が奏効していると思われる完全型房室中隔欠損によるEisenmenger症候群の1成人例
Keywords:タダラフィル、Eisenmenger症候群、QOL改善
【背景】地方において、成人先天性心疾患患者の一部には幼少時に手術適応なしとされ、その後加齢とともにチアノーゼの増強や運動耐容能の低下が進行しても循環器内科や高次施設へのキャリーオーバーができずに、市中病院の小児科医のみで全身の健康管理を継続しているケースがある。今回タダラフィル投与により臨床症状が軽減した自験例について検討した。【症例】32歳男性、21-trisomy、完全型房室中隔欠損、肺高血圧(以下PH)およびEisenmenger症候群と診断され2歳時の心臓カテーテル検査で手術適応なしと診断されていた。10歳時に転居のため当科に紹介された際、初診時の断層心エコー検査(2DE)にて左→右シャントも認められたため再検査を勧めるも家人より拒否されていた。その後加齢とともに次第にチアノーゼ・二次性赤血球増多症のさらなる増強傾向がみられ、28歳時からアスピリン内服が追加されたが、本人の受診頻度は低かった。30歳を過ぎてから3回ほど軽労作時にunconsciousnessとなるエピソードがあり、症状経過からPHまたは低酸素による症状の可能性が高いと判断され、在宅酸素療法を開始。さらにタダラフィルの内服が開始されてから、顔面・末梢の皮膚色・末梢血ヘモグロビン値・血清尿酸値・2DEでの肺動脈弁逆流の改善傾向が確認され、その後1年以上を経過している。 【結語】(1)原疾患の治癒に至るものではないが、チアノーゼ・二次性赤血球増多症を呈したEisenmenger症候群症例に対するタダラフィル投与は一時的ながらも患者さんのQOL改善につながる手段の一つと考えられた。(2)慢性疾患のフォロー方針についての見解は小児科医と内科医で若干の温度差があるものの,うまく協力しながら患者さんの健康管理を継続していくことが望まれる。