1:50 PM - 2:40 PM
[P53-05] 成人先天性心疾患患者のQuality of lifeと影響因子-医学的側面から
Keywords:成人先天性心疾患、QOL、医学的側面
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者のQOLと心理社会的特徴を明らかにすることを目的に欧米・アジア計15か国で統一した方法で調査を行った。その結果、日本人のQOLと生活満足感は疾患の有無に拘わらず最も低かった。今回は、医学的側面からその影響因子について分析する。【目的】ACHD患者のQOLに影響する医学的側面の因子を明らかにする。【方法】18才以上のACHD患者に対し Linear Analog Scale Quality of Life(LAS QOL)等7つの尺度の自己記入式質問紙を郵送法で実施した。分析は統計ソフトSPSS ver.22を使用し分散分析を行った。調査は当該施設の倫理審査の承認を得た。【結果】対象はACHD患者253名、平均年齢36.4±15.3才(幅18-76才)、疾患重症度はsimple 91名moderate107名 Great complex 55名だった。ACHD患者の認識するQOLは、定期外来受診頻度については年3回以上が年2回以下よりも有意に低く(P=0.006)、過去の入院回数は0回よりも3回以上が有意に低かった(P=0.045)。NYHAは、1度より2度が、2度より3・4度が有意に低かった(P=0.000)が、疾患重症度、手術回数、不整脈及び心不全の既往の有無、心臓デバイスの挿入の有無はQOLに差が無かった。【考察・結論】ACHD患者のQOLに関連する因子は、negative思考が報告されている。また、教育程度が低く仕事がない患者はnegative思考が強く、疾患重症度とは関係がないと言われる。今回の結果は、更に社会心理的側面について検討する必要があるが、内服治療や段階的手術・再手術が必要である、心機能が低い等の患者に対し、本人が何によってQOLが低いと感じているかを把握し支援に繋げること、就業支援、肯定的思考への心理的支援等が効果的と考えられた。