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[P55-01] 肺高血圧症患者がWHO機能分2度以下を維持できる要因
Keywords:肺高血圧症、WHO機能分類、予後
【背景及び目的】肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療は年代により異なり、その治療の変遷が予後に与える影響は大きい。診断時のWHO機能分類2度(FC-2)以下のPAH患者を年代別に分類し、治療経過を調査し、FC-2以下を維持できる要因を後方視的に検討。【方法】対象は特発性および遺伝性PAH患者で、4期間に分けて調査。期間Aはエポプロステノール(Epo)開始前(~1995年)、期間BはEpo開始以降、ホスホジエステラーゼ-5阻害薬(PDE5-I)開始以前(1996年~2003年)、期間CはPDE5-I開始以降、追加治療可能(2003年~2009年)、期間Dはエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)含めた病初期から2剤以上の併用治療可能(2010年~)。診断時のFC-2以下のPAH患者を期間別に診断の契機、経過中のイベント、検査データと予後の関係を検討。【結果】全期間の診断時のFC-2以下のPAH患者は71名で、期間Aは4名、Bは37名、Cは19名、Dは11名。生存率は期間A、Bは診断後2年間で急激に低下し、8年後に50%以下に低下。期間C、Dは10年後で90%以上を維持。期間Aは、全例心不全入院歴あり、移植または死亡。期間Bは、全例Epo投与群で、21名が移植または死亡。診断の契機は生存群では心電図異常、移植または死亡群では労作時の息切れが多い。移植または死亡の症例は、当院初診時のCTR拡大(61%)、BNP高値(527pg/ml)、心不全入院歴が多い。期間Cは16名生存。Epo投与群は当院初診時のTRPGが高値(92mmHg)。期間Dは10名生存。Epo投与群は当院初診時のTRPGが高値(82mmHg)。【まとめ】PAH患者は、診断時に有症状で、検査値が悪く、心不全症状を認める症例は予後が悪く、発症前に早期診断し、Epo治療を含めた併用療法を行なうことでFC-2以下に維持できる。