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[P56-03] 先天性心疾患に気道狭窄病変を合併した21症例の検討
Keywords:先天性心疾患、気道狭窄、気管狭窄
【背景】小児において気管狭窄や気管軟化症といった気道狭窄病変はしばしば先天性心疾患に合併し、重篤な転機を辿るものも少なくない。【目的】気道狭窄病変を合併する先天性心疾患患児の臨床像から適切な治療方針を検討すること。【方法】2010年から2015年までに当院で経験した気道狭窄病変を合併する先天性心疾患患児21例について後方視的に検討した。【結果】症例は男児12例、女児9例で平均出生体重は2295g、平均在胎週数は36.1週であった。周囲の組織による圧排が狭窄の原因であるものは21例中16例で、そのうち右肺動脈による左主気管支狭窄が6例と最多であった。14例が心疾患以外の先天奇形を合併しており、主なものとしてtrisomy21が2例、先天性横隔膜ヘルニアが2例、鎖肛が2例であった。全体のうち気道狭窄に対して外科治療を施行したものは7例で、4例は血管の吊り上げ術、1例は血管輪解除術、1例は気管形成術、1例は気管外ステント留置術を施行された。全体のうち3例が気管切開術を施行され(1例が在宅人工呼吸器を導入)、1例が在宅NIPPVを導入された。死亡例は2例あり、1例は肝不全による死亡、1例は心内修復術後の心不全死であった。生存例19例のうち4例が心肺蘇生を施行され、うち3例が低酸素脳症に陥った。1歳及び5歳までの死亡・心肺停止の発生率はそれぞれ19.1%、33.6%であり、1歳未満でより高率であった。症例数が少なく統計学的に有意ではないものの、圧排による狭窄症例で45%、器質的狭窄症例で20%であった。【結語】気道狭窄病変の原因は多彩であり、死亡や神経学的後遺症をきたす症例も多く、特に心疾患を合併した場合の治療や管理は容易ではない。3D-CTやファイバー等を用いた狭窄部位や原因の的確な診断と、外科治療や在宅人工呼吸を含め、病態に応じた適切な管理が重要であるとともに、致死的イベント回避のため早期介入の必要性が示唆された。