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[P57-01] 肺動脈絞扼術後に認められた肺高血圧が軽快した心室中隔欠損の1例
Keywords:心室中隔欠損、肺動脈絞扼術、肺高血圧
【はじめに】心室中隔欠損・高肺血管抵抗例に対して,肺動脈絞扼術 (PAB) が有用とする報告がある.高肺血管抵抗例で,PAB後約2年で修復術が可能となった例を報告する.【症例】2歳2か月女児.心室中隔欠損・動脈管開存,ダウン症候群,Hirshsprung病.3か月時に動脈管結紮術・PAB,5か月Hirshsprung病手術.12か月の初回心カテでは,Qp/Qs 1.3, Rp 8.7, CI 3.1, PaCO2(mmHg) 34.6, PA index 242,O2負荷では,Qp/Qs 1.5, Rp 7.8, CI 2.6, PaCO2 37.3.HOTを継続したが,気管支炎を繰り返したため,症状が安定した1歳7か月に心カテ.Qp/Qs 1.6, Rp 6.1, CI 2.7, PaCO2 38.3, PA index 185. Sildenafil負荷では,Qp/Qs 1.3, Rp 5.4, CI 2.8, PaCO2 36.6.Bosentan負荷心エコーでもQp/Qsは減少したと判断し,HOTを継続.2歳2か月の心カテでは,負荷前後とも肺動脈酸素飽和度が大静脈よりも低く,大静脈の値を用いた計測値である.Qp/Qs 1.0, Rp 5.3, CI 4.3, PaCO2 36.6 , PA index 196.O2負荷では,Qp/Qs 1.0, Rp 3.2, CI 5.0, PaCO2 37.9.【考察】 本症例の肺血管抵抗は,HOTを継続して徐々に低下した.肺血管の変化に対するPABの効果に関しては,Wagenvoortらの報告がある.本症例の経過は,高肺血管抵抗例におけるPABの有用性を示唆するものである.また,SildenafilおよびBosentanの負荷時には,肺血流量の増加がなく,無効と判断した.3回目の心カテでは,O2負荷前後とも肺動脈酸素飽和度が大静脈よりも低く,仮定値を使用した.カテーテル径は絞扼部径の約30%であり,PAB例の肺血管抵抗評価におけるpitfallと考えられた.