The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患4

ポスターセッション(P57)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患4

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
澤田 博文(三重大学大学院 医学系研究科 麻酔集中治療学)

P57-01~P57-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P57-02] 小児心臓手術後急性期患者におけるタダラフィルの臨床効果と血中濃度の検討

浅見 雄司1, 関 満3, 新井 修平1, 中島 公子1, 田中 健佑1, 池田 健太郎1, 笹原 聡豊2, 本川 真美加2, 宮本 隆司2, 杉本 昌也4, 小林 富男1 (1.群馬県立小児医療センター 循環器科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科, 3.Temple University School of Medicine, Cardiovascular Research Center, Department of Physiology, 4.旭川医科大学 小児科)

Keywords:タダラフィル、肺高血圧、周術期

【背景】当院では小児心臓手術後肺高血圧症に対してPDE5阻害薬であるタダラフィルを用いている。同様の報告も散見されるが、長期作用型が特徴な本剤の術後急性期における有用性の検討は十分なされておらず、投与量や投与法も確立されていない。【方法】心臓手術後急性期にNO離脱困難や酸素化不良、PH crisisを契機としてタダラフィルを投与した患者を対象とした。タダラフィルは1日2回投与とし、0.25mg/kg/dayより開始、症状により0.5mg/kg/dayに増量した。投与開始後3、24、72時間でタダラフィル血中濃度を測定。効果判定は投与開始後24時間でPaO2改善またはNOもしくはFiO2を減量できたものを有効とした。【結果】対象は10例(月齢10.8±10.1)で、1歳未満が6例、1歳以上が4例。手術内容は二心室修復5例(TAPVR、ASD、VSD、AVSD)、単心室修復5例(Glenn、TCPC)。投与開始日は術後5.3±3.4日。投与方法は経腸4例、注腸6例。使用目的はNO離脱困難5例、酸素化不良2例、PH crisis3例であった。タダラフィル血中濃度は投与後3時間 57.7±45.0ng/ml、24時間92.2±47.7ng/ml、72時間64.0±52.9ng/mlで、投与方法による血中濃度に有意差はなかった。有効例は7例(70%)で、無効例の3例はいずれも1歳未満であった。投与開始3時間後の血中濃度(Cmax)は:有効群74.0±44.0ng/ml vs 無効群19.8±14.7ng/ml (p=0.07)であり、有効群で高い傾向にあった。年齢で血中濃度を検討すると、3時間後(Cmax):1歳未満41.0±19.7ng/ml vs 1歳以上91.6±51.7ng/ml (p<0.05)。72時間後(トラフ値):47.3±49.9ng/ml vs 86.2±57.9ng/ml (p=0.38)とCmaxは有意に1歳未満が低値であった。副作用は、軽度の発疹、肝機能障害を認めた1例で認められた。【考察】術後急性期の注腸投与は経腸投与と同等の臨床効果と血中濃度が得られた。1歳未満の症例では血中濃度が十分に上がらず効果が得られない症例があり、副作用に注意しながら投与量を調節する必要がある。