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[P57-05] 12歳時にEpoprostenol持続静注を導入し15年間継続し得た重症特発性肺動脈性肺高血圧症例
Keywords:肺動脈性肺高血圧症、Epoprostenol、肺移植
【背景】Epoprostenolは、特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)に対して最初に承認された治療薬であり、現在最もevidenceのある治療法である。しかし、Epoprostenolは短い半減期(6分未満)や下顎痛、頭痛などの副作用を伴い、特に小児では、持続静注に伴うカテーテル関連感染症、血栓塞栓症なども多く、しばしば継続を困難としている。我々は、日本でEpoprostenolが承認されて間もない時期から15年間に亘って持続静注を継続し得た稀有な小児例を経験したので報告する。【症例】27歳女性。7歳時にIPAHと診断された。肺動脈圧=70/40(50)mmHg、肺血管抵抗係数=25.1U・m2、心係数=2.21L/min・m2と肺高血圧は重度であった。beraprost内服を開始したがさらに増悪し、12歳時にEpoprostenol持続静注を開始した。Epoprostenol漸増したが、肺高血圧の改善は不十分で、120ng/kg/minと大量静注を必要とした。その間に1型糖尿病、統合失調症を発症し、精神的に不安定な時期にはインスリン大量皮下注やEpoprostenol投与中断などの自殺企図の既往があった。内服でTadalafil、Macitentanも導入したが、26歳頃から両心不全症状が悪化し、Epoprostenolをさらに178ng/kg/minまで増量した。考えられ得る最大限の内科的治療でも効果不十分であり、肺移植を検討したが、統合失調症と1型糖尿病が併存している状態での適応判断に苦慮した。【考察】20年間のIPAH病歴と15年間のEpoprostenol持続静注歴を持つ27歳女性例を経験した。治療の進め方、肺移植の検討時期などについて文献を含めて考察を加える。剖検結果に関しても報告する。