The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患5

ポスターセッション(P58)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患5

Thu. Jul 7, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:南 高臣(自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)

P58-01~P58-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P58-02] 遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)1型に合併した小児期発症の肺動脈性高血圧症(PAH)症例の経過

原田 雅子, 近藤 恭平 (宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座小児科学分野)

Keywords:肺高血圧症、遺伝性出血性末梢血管拡張症、遺伝性肺高血圧症

【背景】HHTは鼻出血、末梢血管拡張、肺・肝・脳の血管奇形で特徴づけられる常染色体優性遺伝疾患で責任遺伝子としてENG、ACVRL1などが知られている。HHTの2割に肺高血圧症(PH)を合併するが、ほとんどは肝動静脈瘻に伴う高拍出性PHである。近年、稀にPAHを合併することが判明し、HHT関連PAHと位置付けられたが、重症であることが多く注意を要する。HHT関連PAHのほとんどはACVRL1変異症例で見られ、ENG変異症例での報告は少ない。今回、ENG変異症例でPAHをきたした症例を経験した。【症例】症例は7歳女児。父親が肺動静脈瘻を伴うHHT患者であり、本児も他医でスクリーニングのために胸部CT検査を施行された。左肺下葉の小動静脈瘻の所見と、肺動脈と右心系の著明な拡大を認め、当科紹介となった。肝小動静脈瘻も合併していた。心エコー図上、器質的心疾患はなく、右心カテーテル検査では平均肺動脈圧 50mmHg、肺血管抵抗 11.8 wood/m2、肺動脈楔入圧 9mmHgを認め、WHO機能分類IIのPAHと診断した。遺伝子変異による遺伝性PAHの可能性が高いと考え、速やかに肺高血圧治療薬を3剤導入。後に父、本児共にENG遺伝子変異が判明した。WHO機能分類II→Iとなり、BNPも改善したが、治療開始4か月後の右心カテーテル検査では平均肺動脈圧50→45mmHgと効果は限定的であり、エポプロステノール導入も念頭に慎重に経過観察中である。【考察】ENG変異に伴うHHT関連PAHの報告は世界的にみても数例程度で、肺動静脈瘻との合併の有無も症例によって異なり、病態も明らかになっていない。治療についてのエビデンスもなく、PAHの管理方針を参考に施設毎に判断されているのが現状である。本症例の管理方針と経過、ENGとPAHの病態につき文献的考察を踏まえて報告する。