第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患5

ポスターセッション(P58)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患5

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:南 高臣(自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)

P58-01~P58-05

18:00 〜 19:00

[P58-04] 心内修復術後に気管軟化症・気管支軟化症が改善したFallot四徴症の一例

後藤 良子, 河本 敦, 宮原 宏幸, 上田 和利, 徳増 智子, 荻野 佳代, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)

キーワード:肺血流増加、気管支軟化症、喉頭気管気管支鏡検査

【緒言】先天性心疾患において肺血流増加(high flow)が進行した症例では、多呼吸、陥没呼吸、呼気性喘鳴など、気管軟化症・気管支軟化症に類似した臨床症状を呈する。今回、喉頭気管支鏡検査(BFS)で重度の気管・気管支軟化症と診断されたが、心内修復術後に臨床症状、気管支鏡検査所見とも劇的に改善したFallot四徴症(TOF)の一例を経験した。
【症例】6カ月女児。在胎31週1日、895g、MD双胎第2子として仮死なく出生。心エコーでTOFと診断された。低酸素発作を頻発し、日齢22にBlalock-Taussing shunt術(3mm, innoA-rtPA)を施行した。術後より陥没呼吸、多呼吸を認め徐々に悪化、啼泣時のチアノーゼ、呼気性喘鳴、体重増加不良、哺乳不良を呈するようになった。生後5カ月時にBFSを施行し、気管・気管支軟化症と診断され、気管切開、人工呼吸管理の適応と思われた。生後6カ月時のSpO2は90%(室内気)で、心エコーではLVDd 131 % of normal、カテーテル検査ではLVEDV 125 % of normal, PA index 275でありhigh flowの状態であると推測されたため、心内修復術を施行した。術後陥没呼吸、多呼吸、啼泣時のチアノーゼは消失した。術後5週間目に施行したBFSで軟化症所見の消失を確認した。生後10カ月現在も呼吸障害の再発なく外来で経過観察中である。
【考察】先天性心疾患に気道病変を合併することが知られている。血管の位置異常により直接気道を圧排している場合やそれに伴う二次性の気管・気管支軟化症であれば、外科的治療により物理的な狭窄を解除することで気道症状が改善することがある。本例では手術の前後で明らかに軟化症所見が改善しているのをBFSで確認することができた。High flowにより気管・気管支が圧排され軟化症を引き起こしていたと考えられた。
【結語】High flowを伴う呼吸障害を呈する児に対する早期の外科的介入により気管・気管支軟化症が軽快し気管切開・人工呼吸管理を回避できる可能性がある。