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[P58-05] 肺動静脈瘻のコイル塞栓術後に悪化した肺高血圧に経口肺血管拡張薬が著効した1例
Keywords:肺動静脈瘻、肺高血圧、経口肺血管拡張薬
【はじめに】肺血管拡張薬の進歩は目覚ましく、有効例も増えている。我々はOsler-Rendu-Weber病(HHT)合併PAVFのコイル塞栓術後(coil)に逆に悪化したPHに経口肺血管拡張薬が著効した症例を経験したので報告する。【症例】24歳男。家族歴に特記なし。5歳頃より鼻出血がほぼ毎日。12歳、貧血精査で上部消化管内視鏡、胃ポリープとその周辺の毛細血管拡張があり、焼灼術を施行された。13歳頃より徐々に進行する労作息切れあり、近医で胸部X線写真異常を指摘、前医で胸部造影CTを施行、両側PAVFを発見された。精査加療目的で当院紹介。当科入院後、鼻出血周辺部位の毛細血管拡張も認め、HHTと診断。肝、脳、脊髄にAVMは認めず。カテーテル検査を施行し、PAVFは左右1つずつで各々の流入血管は5.8mmと3.5mmで、その後に20mmと30mm大の異常血管の塊を形成、狭窄部は4.2mmと3.8mm程であった。平均肺動脈圧(mPAP)33mmHgであったが、酸素負荷でPVRI 7.4単位×m2から4.7へ低下、SpO2は88%から100%へ上昇した。本例の肺高血圧は低酸素による血管攣縮が原因と推測、両側PAVFに対しcoilを施行した。術後、SpO2は98%であったが、PHは逆に悪化し、酸素療法・ベラプロスト内服を開始。その後もPHは進行し、ボセンタン・シルデナフィル内服を追加したが、アドヒアランス不良で、19歳時の検査ではmPAP97mmHg 、PVRI 24単位×m2。突然死リスクと内服必要性を繰り返し説明し、アドヒアランスは改善、労作時自覚症状は徐々に消失し、24歳時の検査でmPAP34mmHg、PVRI 10単位×m2に改善した。【結語】PAVFに併発したPHがcoil後に増悪する特異な経過の症例を経験した。本例のような特異な症例にも、経口肺血管拡張薬は有効であった。