The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

心血管発生・基礎研究2

ポスターセッション(P60)
心血管発生・基礎研究2

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
加藤 太一(名古屋大学医学部附属病院 小児科)

P60-01~P60-06

6:00 PM - 7:00 PM

[P60-01] 心臓周術期における小児の血中カルニチン濃度の変化に関する検討

田部 有香1, 安田 謙二1, 中嶋 滋記1, 藤本 欣史2, 城 麻衣子2 (1.島根大学医学部 小児科, 2.島根大学医学部 心臓血管外科)

Keywords:カルニチン、小児、周術期

【背景】遊離カルニチン(free carnitine;C0 )は長鎖脂肪酸をミトコンドリア内へ輸送し、β酸化によるエネルギーを産生するために必須である。急性心筋虚血、慢性心不全では心筋中のC0が低下し、エネルギー代謝異常が起こり、重篤な症状を呈することが知られている。また透析や人工心肺の使用でもカルニチンが減少すると報告されているが、小児を対象とした検討はない。【目的】小児の先天性心疾患における開心術が、C0に与える影響を評価するために、周術期のC0値の変化を検討する。【対象と方法】2014年1月~2015年12月の間に、先天性心疾患のために当院で開心術を受けた患者48名(男女各24名)について、手術前後の動脈血、静脈血のカルニチンを各々血漿と濾紙血に分けて測定した。【結果】患者の年齢は2カ月から18歳であった(中央値 1歳4カ月)。術前評価で、二次性カルニチン欠乏症を含む、先天代謝異常を疑う所見はみられなかった。全例で人工心肺を使用し、使用時間は55~484分(中央値 134分)であった。各症例の経時的な術直前のC0値を基準として検討したところ、術直後は61%に低下するが、術翌日は181%まで昇し、術後2日は133%となり、術後3日目に102%とほぼ術前の値に戻った。術直後のC0値の低下は手術時間と中等度の相関(r=-0.42)が、体外循環時間とに弱い相関(r=-0.35)がみられたが、大動脈遮断時間とは無関係であった。 なお血漿、濾紙血ともに動脈血と静脈血中のC0値は強い相関を示したため(R=0.95)、術翌日以降は、動脈血と静脈血を区別せず扱った。【考察】小児においても、体外循環、手術時間が長くなると、術後の血中C0値が低下することが分かった。低下の原因は体外循環等による遊離カルニチンの喪失、著増する理由としては遊離カルニチンが豊富な心筋や骨格筋からの流出が起きている可能性がある。C0値の低下時間は半日程度であり、心機能に与える影響は軽微である可能性が高い。