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[P62-01] 心筋シンチグラムで左室前壁の血流低下を認め微小血管狭心症と判断した16歳女児例
Keywords:微小血管狭心症、冠動脈、虚血
(緒言)微小血管狭心症は表在冠動脈に器質的狭窄や攣縮を伴うことなく、微小血管レベルの循環障害に起因する狭心症であり、中高年の女性に好発する。検査で典型的な虚血所見が得られない場合が多く非常に診断が困難で、また確立した治療法がなく難治性である。生命予後は良好とされていたが、胸痛や検査などによるQOLの低下が問題であり、また近年生命予後自体も楽観視できないとする報告もある。(症例)16歳女児。特記すべき既往歴なし。高校で陸上部に入部し、練習中に胸痛が出現するようになった。胸痛は発症すると軽快するまでに時間を要した。学校検診で軽度のST低下を指摘され当科に紹介となった。(検査所見)トレッドミル負荷心電図で胸痛出現したが、2、3、aVFに軽度のup-slopingなST低下を認めるのみで非特異的変化であった。造影CTで冠動脈に明らかな異常なし。201TI運動負荷心筋シンチグラフィーでも胸痛出現し、運動時、安静時ともに左室前壁に血流低下を認めた。123I-BMIPP心筋シンチグラフィーでも同部に欠損を認めた。冠動脈造影で器質的狭窄は認めず、エルゴノビン負荷試験ではLADで一時的にflow delayがあり、一過性にV2-4でST上昇を認めたがLADの攣縮は確認できず、flow delayとST変化も自然に改善した。胸痛はflow delay出現時に発症し、delayが改善した後も持続した。(経過)微小血管狭心症と判断し、アテノロール 50mg分1内服で治療開始した。治療開始後は胸痛の持続時間は短縮されたが、冬季になり胸痛の頻度が増加してきたため治療開始後3ヶ月で201TI運動負荷心筋シンチグラフィーを再検したところ血流低下の範囲が若干拡大していた。このため治療薬の追加・変更を考慮している。(結語)小児期発症の微小血管狭心症は稀であり、診断までの経緯と治療経過について報告した。