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[P62-02] 感染性心内膜炎罹患後に発症した上行大動脈瘤の一例
キーワード:上行大動脈瘤、大動脈弁狭窄症、感染性心内膜炎
【背景】先天性心疾患の手術成績の向上による生存率の上昇、カテーテルデバイスの留置や生体材料/人工材料使用頻度の増加に伴い感染性心内膜炎の報告は増加傾向にある。今回先天性大動脈弁狭窄症に合併した巨大感染性大動脈瘤の一例を経験したので報告する。【症例】10歳の男児。先天性大動脈弁狭窄症(二尖弁)で、他院で経皮的大動脈弁拡張術を施行され当院外来通院中。大動脈弁狭窄症は圧較差が40mmHgであった。9歳で連鎖球菌による大動脈弁の感染心内膜炎で抗菌薬治療を施行され退院となったが、治療終了後1ヶ月の心エコーで上行大動脈瘤を認めた。CTを施行すると、動脈瘤の大きさは24×18mmでSTJから7mm頭側の上行大動脈に瘤との交通を認め、その部分は大動脈弁狭窄によるジェットをdirectに受けるところであった。破裂の可能性もあるため入院7日目に上行大動脈置換術(J graft 18mm)を施行した。術中所見では、瘤と大動脈との交通部位にカリフラワー状の内膜変性を認め、そこの切除検体からはグラム陽性球菌が検出され、後日MSSAと判明した。術後は感染性心内膜炎に準じた抗菌療法を行い、経過は良好である。【考察】背景に大動脈弁狭窄症があり、長期間に及ぶジェット血流によって内膜への障害を来たし、瘤形成を引き起こしたと考えられる。今回の診断に至ったきっかけは心エコー検査であり、感染性心内膜炎治療後やジェット血流を有する血行動態の場合には、瘤形成の可能性があることも念頭に置く必要がある。