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[P63-01] 川崎病急性期におけるintima-media complex thicknessの意義
キーワード:IMT、川崎病、血管炎
【背景】内・中膜複合体厚(intima-media complex thickness:IMT)は、成人領域で動脈硬化の指標として用いられている。IMTは年齢とともに厚みを増し、健常者では30歳で0.6mm程度とされる。一方で、高安動脈炎では『マカロニサイン』と呼ばれるIMT肥厚が観察されることが分かっている。全身の血管炎を主病態とする川崎病におけるIMTについて検討した。【対象・方法】対象は2015年9月~2016年1月に当科小児科に受診した発熱性疾患 13例(川崎病 7例、頸部リンパ節炎 4名、伝染性単核症 1例、アデノウイルス感染症 1例)。川崎病群(n=7, 男:女=6:1, 年齢:1歳2ヶ月[4ヶ月~5歳10ヶ月], 検査病日:5.0病日[4~6病日])と非川崎病群(n=6, 男:女=5:1, 年齢:6歳8ヶ月[4歳3ヶ月~8歳1ヶ月], 検査病日:4.5病日[2~6病日])の2群に分けて、IMT値について比較検討を行った。IMTはランダムに3点を計測し、その平均値を用いた。【結果】IMTは川崎病急性期において有意に肥厚を認めた(A群:0.52±0.05mm vs B群:0.42±0.02mm, p<0.01)。川崎病群はいずれも主要症状が5/6項目以上であり、IVIG不応例は1例あった。冠動脈瘤形成などの合併症はいずれの症例でも認めなかった。検査当日のWBC数、CRPに有意差は認めなかった(A群: WBC 14,271±3,156/μL, CRP 8.5±3.7mg/dL vs B群:WBC 12,683±6,847μL, CRP 8.1±9.0mg/dL)。【考察】川崎病では主な病変は中・小動脈とされ、冠動脈病変がしばしば問題となるが、大血管が侵されることもある。川崎病急性期におけるIMT肥厚は、大血管における微小な炎症性変化を示唆しているものと考えられた。【結語】川崎病急性期におけるIMTは、他の発熱性疾患と比して有意に肥厚していた。IMTは比較的簡便に、かつ非侵襲的に評価が可能であり、川崎病診療における診断補助に有用となる可能性がある。今回の検討では症例数が少数であり、今後はさらに症例を蓄積し、比較検討する必要がある。