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[P63-04] 画像診断からみた川崎病遠隔期冠動脈障害例のドロップアウトに関する検討~心筋血流イメージング重症度による評価~
キーワード:川崎病、冠動脈、ドロップアウト
【背景】川崎病冠動脈障害のドロップアウト(DO)を減らすために、疾患重症度との関連を知ることは重要である。【目的】川崎病冠動脈障害患者の心筋血流イメージング(MPI)の重症度とDOの関連を明らかにする。【対象】自施設においてMPI評価を開始した1988年9月から2015年3月までの26年間に、川崎病冠動脈障害の診断でMPIを施行した100例を対象とした。調査時の対象年齢は28.8±8.6歳である。全例で冠動脈瘤を認め、冠動脈瘤退縮例は除外した。【方法】全例で負荷心筋血流SPECTによるMPI評価を行った。MPIから調査時までの経過年数が5年以上をDOと定義した。複数検査施行者では最終検査を検討対象とした。MPI施行時の年齢は19.1±8.7歳であった。重症度は左室心筋19領域、負荷時の取り込みを5段階評価したSeverity score(SS)を指標とした。SSが0点、1~3点、4~7点、8点以上に分類し、重症度別のDO発症の相対危険度(RR)と信頼区間(CI)を求めた。【結果】DOは58例、非DOは42例であった。SS0点は全体の36%、SS1~3点は17%、SS4~7点は25%、SS8点以上は22%であった。SS1点以上でDOを発症するRR0.65(CI0.50~0.89)、SS4点以上でRR0.916(CI0.66~1.27)、SS8点以上でRR1.13(CI0.74~1.52)であった。【考察】川崎病冠動脈障害のMPI 施行有無により評価したDOは58例と高率であった。SS0点は1点以上と比較してDO発症リスクが高いが、それ以上の点数比較ではRRによる発症リスクに差を認めなかった。MPI結果が良好であることの心理的背景がDO発症のリスクであると推測する。【結語】川崎病冠動脈障害のMPIでSS0点の患者ではDO発症リスクが高く、虚血所見がない場合においても血栓性閉塞による心事故のリスクはあるため、経過観察の重要性を丁寧に説明する必要がある。