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[P63-05] 川崎病冠動脈障害合併14例の症例対照研究
Keywords:川崎病、冠動脈障害、症例対照研究
【背景】川崎病の心障害は男児、若年児と高年児に多いことは全国調査で明らかである。これらの交絡因子を除いた症例対照研究の報告は少ない。【目的】冠動脈障害(CAL)を認めた症例の特徴を年齢・性別の交絡因子を除外した症例対照研究で検討すること。【方法】2005年~2015年に当院で川崎病急性期治療中にCALを認めた14例をCAL群とした。CAL1例に対して性別と年齢が同一で発症時期が最も近い14例を対照群とし、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】性別は男児12例、女児2例、月齢平均はCAL群/対照群=21.1/20.2ヵ月、CAL群の内訳は瘤4例、拡大4例、一過性拡大6例であった。入院病日平均は2.6/3.6病日、IVIG投与開始平均は5.1/5.4病日であった。治療開始病日における群馬スコア平均は5.2/3.1と有意にCAL群が高く、5点以上はCAL群11例(78.6%)、対照群1例(7.1%)であった。有熱日数は中央値(最小値-最大値)が10.5(5-22)/6(5-24)日でCAL群が長く、IVIG再投与はCAL群10例(71.4%)、対照群1例(7.1%)であった。検査値での有意差は、IVIG投与前値ではCRP(mg/dl) 14.8(7.6-24.0)/5.1(0.6-16.8)、TP(g/dl) 5.5(4.1-7.1)/6.5(4.8-7.3)、IVIG投与後値では CRP 7.4(1.5-22.9)/1.8(0.2-12.5)、TP 7.1(6.1-9.3)/8.0(6.5-8.9)、AST(U/L) 26.5(15-76)/50.5(25-856)、WBC(μl) 14,800(5,400-36,600)/8,000(4,500-17,500)に認められた。一方、ALTはIVIG投与前36/37に対し、投与後は18.5/31.5で、投与前後での変化率(-43.1%/-6.0%)に有意差を認めた。WBCの変化率も -4.3%/-41.2%とCAL群ではIVIG投与後に低下しにくかった。CAL群で2例に熱性けいれんを合併した。【結論】川崎病CAL症例の症例対照研究の結果、年齢・性別の交絡因子を除外してもCAL群で有熱日数が長く、IVIG再投与率が高く、CRPがIVIG投与前後とも高値であり、WBCが正常化しにくかった。機序は不明であるが肝酵素はIVIG投与前後ともCAL群より対照群の方が高かった。