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[P64-02] 川崎病免疫グロブリン療法における単回投与変法の検討
キーワード:川崎病、IVIG、単回投与変法
【背景・目的】川崎病における免疫グロブリン療法(IVIG)の投与方法は、2g/kg/日の単回投与法が近年の主流である。当院では最近まで、製剤使用量の減少および容量負荷の軽減を目的に、1g/kg/日を1日または2日連続投与による単回投与変法を主に実施してきた。当院で実施したIVIG単回投与変法の成績を後方視的に検討した。【方法】対象は2009年1月から2015年10月に発症し、当科に入院した川崎病症例83例(再発5例を含む79人)。IVIGの実施状況、IVIGへの反応性、小林らのIVIG不応予測スコア(不応スコア)を後方視的に検討した。【結果】74例(89%)にIVIGを実施し、単回投与法が14例(19%)、単回投与変法が60例(81%)。単回投与変法のうち1g/kg/日×1日投与(変法1g群)が29例(48%)、1g/kg/日×2日投与(変法2g群)が31例(52%)。初回IVIG有効例における、治療開始病日から解熱病日までの平均所要日数は、単回投与法群2.1日、変法1g群2.1日、変法2g群2.9日であり、有効例であっても変法2g群では解熱が遅れていた(P<0.01)。初回IVIG不応例は9例(12%)で全て変法2g群であった。単回投与変法を実施した60例において不応スコア5点未満は39例であり、25例(64%)が変法1g群であった。不応スコア5点以上は21例であり、変法1g群は4例(19%)と不応スコア5点未満に比べ少なく(P<0.01)、9例(43%)が不応例であった。【考察・結論】不応スコア5点未満を対象に単回投与変法を実施すると過半の症例が1g/kgで解熱すると予想し得る。ただし計2g/kgを要する場合は解熱病日が遅れるため、治療開始病日が遅い症例には適さないと思われる。不応スコア5点未満かつ早い治療開始病日(6病日以前)の症例の場合、単回投与変法は血液製剤使用量の減量という点において有用な選択枝であると思われた。