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[P64-03] 京都地区におけるステロイド初期併用療法の効果検証
キーワード:ステロイド初期併用療法、RAISE不応例、冠動脈予後
【背景】重症川崎病患者に対する初期治療としてのIVIG+PSL併用療法はIVIG単独治療と比較し冠動脈病変形成予防に優れていると報告され、各病院の判断でRAISEプロトコールを導入している。今回我々は、京都地区関連病院におけるIVIG+PSL初期併用療法の効果検証を行った。 【対象】関連4病院において2012年以降(1病院は2014年以降)、加療した川崎病236症例を対象とし、RAISE不応例の発生数、冠動脈予後、RAISE不応例の臨床経過について検証した。RAISE不応例は冠動脈後遺症を併発した症例(CAL例)とした。【結果】RAISE適応症例は28.1%であり、RAISE不応例は6例だった。冠動脈予後の内訳は巨大瘤 1例、中等瘤 3例、小瘤 2例であり、全症例中のCAL合併率は2.9%だった。(症例1) 11カ月女児、群馬スコア 6点。4病日からPSL+IVIG開始。6病日に解熱し冠動脈病変なく11病日PSL内服へ変更。12病にCRP 2.81mg/dlと再上昇し、PSL ivを再開。16病日、LMT 4.5mmの拡張あり、18病日シクロスポリンA(CyA)div開始。21病日、LCA分岐部に8.7mmの巨大瘤を形成し、その後12.9mmへ拡張した。(症例2) 2歳5カ月女児、群馬スコア 8点。4病日からPSL+IVIG開始し翌日解熱。10病日、CRP 2.54mg/dlでありPSL内服へ変更。14病日、LCA分岐部3.5mmと拡張傾向あり、翌日よりCyA内服開始しPSLを速やかに漸減中止。17病日、同部位に4.5mmの拡張あり。(症例3) 9カ月女児、群馬スコア6点。5病日からPSL+IVIG開始。翌日解熱し、10病日にPSL内服へ変更。14病日、LCA分岐部3.8mmへ拡張し、15病日にCRP 4.91mg/dlへ再上昇あり。翌日、CyA div開始しPSLを速やかに漸減中止。28病日、同部位に5.1mmの拡張が認められた。【考察】最終的IVIG無効率が3.6%という報告があり、本研究でも同様の割合でCAL合併例が確認された(2.9%)。CRP再上昇や陰性化遅延例で急速な冠動脈瘤の形成が認められた。冠動脈拡張時は速やかなPSL漸減中止も治療戦略の一つと考えられた。