第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管4

ポスターセッション(P64)
川崎病・冠動脈・血管4

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
岩佐 充二(名古屋第二赤十字病院 第一小児科)

P64-01~P64-06

13:50 〜 14:40

[P64-03] 京都地区におけるステロイド初期併用療法の効果検証

池田 和幸1, 八幡 倫代1, 岡本 亜希子1, 鈴木 千夏1, 吉岡 綾子1, 朽津 有紀1, 久保 慎吾1,2, 河井 容子1,3, 中川 由美1,4, 小澤 誠一郎1,5, 濱岡 建城1 (1.京都府立医科大学 大学院医学研究科 小児循環器・腎臓学, 2.京都山城総合医療センター 小児科, 3.福知山市民病院 小児科, 4.田辺中央病院 小児科, 5.京都第一赤十字病院 小児科)

キーワード:ステロイド初期併用療法、RAISE不応例、冠動脈予後

【背景】重症川崎病患者に対する初期治療としてのIVIG+PSL併用療法はIVIG単独治療と比較し冠動脈病変形成予防に優れていると報告され、各病院の判断でRAISEプロトコールを導入している。今回我々は、京都地区関連病院におけるIVIG+PSL初期併用療法の効果検証を行った。 【対象】関連4病院において2012年以降(1病院は2014年以降)、加療した川崎病236症例を対象とし、RAISE不応例の発生数、冠動脈予後、RAISE不応例の臨床経過について検証した。RAISE不応例は冠動脈後遺症を併発した症例(CAL例)とした。【結果】RAISE適応症例は28.1%であり、RAISE不応例は6例だった。冠動脈予後の内訳は巨大瘤 1例、中等瘤 3例、小瘤 2例であり、全症例中のCAL合併率は2.9%だった。(症例1) 11カ月女児、群馬スコア 6点。4病日からPSL+IVIG開始。6病日に解熱し冠動脈病変なく11病日PSL内服へ変更。12病にCRP 2.81mg/dlと再上昇し、PSL ivを再開。16病日、LMT 4.5mmの拡張あり、18病日シクロスポリンA(CyA)div開始。21病日、LCA分岐部に8.7mmの巨大瘤を形成し、その後12.9mmへ拡張した。(症例2) 2歳5カ月女児、群馬スコア 8点。4病日からPSL+IVIG開始し翌日解熱。10病日、CRP 2.54mg/dlでありPSL内服へ変更。14病日、LCA分岐部3.5mmと拡張傾向あり、翌日よりCyA内服開始しPSLを速やかに漸減中止。17病日、同部位に4.5mmの拡張あり。(症例3) 9カ月女児、群馬スコア6点。5病日からPSL+IVIG開始。翌日解熱し、10病日にPSL内服へ変更。14病日、LCA分岐部3.8mmへ拡張し、15病日にCRP 4.91mg/dlへ再上昇あり。翌日、CyA div開始しPSLを速やかに漸減中止。28病日、同部位に5.1mmの拡張が認められた。【考察】最終的IVIG無効率が3.6%という報告があり、本研究でも同様の割合でCAL合併例が確認された(2.9%)。CRP再上昇や陰性化遅延例で急速な冠動脈瘤の形成が認められた。冠動脈拡張時は速やかなPSL漸減中止も治療戦略の一つと考えられた。