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[P64-06] 川崎病ローリスク症例に対するIVIG必要量
キーワード:ガンマグロブリン、不応予測スコア、低リスク
【背景】川崎病初期治療としてのガンマグロブリン(IVIG)は8割以上が2g/kg単回投与されている(全国調査より)。しかし、必ずしも2g/kgまで必要としない場合もしばしば経験する。IVIG不応予測スコアで層別化して初期治療を行う現在、とくに低リスク症例に対し不要な血液製剤投与は避けたい。今回我々は、低リスク症例に対してIVIG 1g/kgより投与開始し、効果と安全性を検討した。【方法】2012年4月から2015年12月までに当科入院した川崎病症例201例のうちIVIG不応予測スコアが群馬、久留米、大阪の3つとも基準を満たさなかった118例(59%)を低リスク患者とし、そのうちIVIG療法を行わなかった7例を除外した111例を対象とした。1g/kgで治療を開始した80例(1g群)とIVIG2g/kg単回投与を行った31例(2g群)に分類し、臨床経過と追加治療の有無を分析した。【結果】1g群において、IVIG 1g/kgで治療を終えた症例は48例(60%)であった。翌日も1g/kg投与を行った症例が23例(29%)、3日目以降にもう1g/kg必要だった症例が9例(11%)であった。8例(10%)で追加治療を要した。IVIG 2g/kg以上要しても退院病日は平均13.5病日で、2g群と同等であった。両群とも冠動脈病変を残した症例はいなかった。【考察】川崎病入院患者の半数以上が低リスク患者であり、そのうちの半数以上はIVIG 1g/kgで十分であった。IVIG計2g/kg、さらには追加治療を必要とした症例においても有症期間に影響はなく、また冠動脈病変も残さず、安全に1g/kgからの初期治療が可能と思われた。