18:00 〜 19:00
[P66-04] 乳児期~学童期の心臓CT撮影時におけるランジオロール塩酸塩の使用経験
キーワード:冠動脈CT、塩酸ランジオロール、低被曝撮影
【背景と目的】2011年9月に、冠動脈CTの描出能改善を目的として発売されたランジオロール塩酸塩(コアベータ)は、静注用短時間作用型β1選択性遮断薬であり、成人領域のCT撮影時に広く使用されている。しかし、小児領域では、使用実績や安全性についての報告が少ない。当院で心臓CT撮影時にコアベータを使用した症例について、心拍数の変化や有害事象の有無について検討した。【対象と方法】2014年11月~2016年1月までに、心臓造影CTの撮影時にコアベータを併用した16歳未満の9例を対象とした。成人の一般的な使用量である0.125mg/kgを投与した群をA群(n=3)、半量の0.06mg/kgを投与した群をB群(n=6)とした。幼児期未満の症例は、鎮静薬で入眠した状態で撮影した。使用機器はSOMATOM Definition Flashで、全例心電図同期下に撮影を行い、造影剤量や管電圧・電流は体格で調整した。【結果】原疾患は高度大動脈狭窄3例、川崎病2例、冠動静脈瘻1例、BWG症候群1例、完全大血管転位1例、左肺動脈狭窄術後の胸痛1例。年齢:A群中央値8.3歳(2.8-15.3)、B群8.3(0-13.2)、体重18.4kg(2.9-53.2)、撮影前HR:A群84.5(69-110)、B群103(86-130)、撮影時HR:A群70(64-114)、B群95(72-120)、コアベータ使用によるHR下降幅:A群9(4-24)、B群10(8-14)、コアベータ使用から撮影までの時間:平均4.6分(1-8)であった。コアベータ使用に伴う明らかな有害事象は認めなかった。【考察】今回の検討ではコアベータによる明らかな有害事象を認めず、年少児にも安全に使用できる可能性が示唆された。2種類の投与量による年齢、HR下降幅には、有意差を認めなかった。撮影前・撮影時のHRはB群が高い結果であったが、特に年少児にコアベータを使用する場合、目標HRや投与量、得られるCTの画質については今後さらなる検討が必要である。また、コアベータの血中半減期は約4分と短く、迅速な撮影体制の構築が望まれる。