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[P67-03] 一般病院における致命的先天性心疾患スクリーニング導入の問題点と工夫
キーワード:致命的先天性心疾患、スクリーニング、酸素飽和度
【背景】生後1年以内に何らかの介入を必要とする致命的先天性心疾患(CCHD)の中には、生後数日後に循環動態の急変を伴って発症するケースがある。このような患児を早期に抽出するスクリーニングの導入が始まっている。【目的】一般市中病院産科病棟にてCCHDスクリーニングを施行し、導入時の工夫と問題点、その対応を検討する。【対象】2014年4月から2015年12月までに出生した419名の新生児【方法】日齢2に右上肢、下肢の酸素飽和度測定を行いKemperらのプロトコールに準じ判定。不合格となった児には、診察と心エコー検査を含めた諸検査を施行した。【結果】419名中、416名にスクリーニングが行われ、施行漏れが3名あった。施行された416名中、411名がスクリーニング合格、5名が不合格となった。不合格となった5名のうち4名はただちに心エコー検査を含めた諸検査が施行されたが、1名は検査体制が整わず2日後の小児循環器医診察まで経過観察となっている。不合格となった児でCCHDの診断に至った例はなく、日齢4には合格基準まで酸素飽和度が改善したことを確認した。すべての新生児は、1か月後に乳児健診を行い問題がない事を確認した。また判定ミスが1例あった。 クリニカル・パスへの導入と施行後の看護師・医師の2重チェックを徹底し施行漏れがなくなった。また電子カルテへテンプレートを導入し自動判定としたことで、判定ミス、記録ミスがなくなった。【考察】スクリーニングの施行・手順についての問題は、システムの整理によって対応可能であった。当院では、胎児心エコーを妊婦健診で行い、異常が疑われた場合は高次医療機関へ紹介するため、出生した新生児にCCHDを認めることは少ない。しかしスクリーニング不合格となった児に対し迅速な対応を行うためには最低限の心エコー手技を、新生児を扱う小児科医が獲得することが必要と考える。