第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

学校保健・疫学・心血管危険因子1

ポスターセッション(P67)
学校保健・疫学・心血管危険因子1

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
渡部 誠一(総合病院土浦協同病院 小児科)

P67-01~P67-06

18:00 〜 19:00

[P67-04] 正常な新生児から乳児における左室拡張末期径の2人種間の比較

長澤 宏幸 (岐阜県総合医療センター 新生児内科)

キーワード:左室拡張末期経、心エコー、乳児

【目的】左室拡張末期径(Left ventricular end-diastolic dimension; LVDd)に関しては、既に小児期を通じてその正常値は身長を基準とすると線形回帰することを報告してきた。また、この回帰式では身長48cm, 75cm付近で変曲点を持つことも示してきた。今回日本人を対象に求めたこの関係式とドイツにおける一施設での計測値から得られた関係式とを比較したので報告する。【対象】正期産で生まれ、基礎疾患のみられない日本人186計測とドイツ人281計測である。身長は48から75cmの範囲内とした。身長は心エコー測定時に計測した。【結果】ドイツ人においても身長とLVDdとは線形回帰することが示された。身長をx cm, LVDdをy mmで示すと、日本人では、y = 0.353* x + 1.97 であるのに対し、ドイツ人では、y = 0.314* x + 3.82 であった。【解析】この結果を共分散解析すると、P<0.001で両回帰式は異なることが示された。両群間の差は、身長48cmでほとんどなく、75cmで最大となり1.1mmであった。この範囲内では有意に日本人の方が大きいことが示された。【考察】少なくとも乳児においてLVDdに関し、身長を基準にすることは両人種においては実践的に有用と考えられる。また、わずかに日本人のLVDd方がドイツ人のそれより大きいとの結果が得られたが、測定装置が同一ではなく、また手技面での同一性が担保されているわけではないことから、それらによる誤差という可能性も十分にある。測定手技や機種による誤差を考慮に入れた再調査の必要があると考えられた。