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[P67-05] さらに充実した学校救急体制を構築するために
キーワード:学校救急、突然死、学校保健
【背景および目的】 学校救急体制をさらに充実させ有効な突然死の予防対策を講じるためには、実際の学校現場において、ニアミスなどを含めて、どのような事象において児童・生徒が生命の危機に直面しているのかを明らかにすることが必要である。【対象と方法】 対象は、平成17年4月1日~平成27年3月31日までに学校から救急搬送された18歳以下の小児症例すべて。松山市中央消防署に協力を依頼し、児童生徒が学校現場から、どのような状況で緊急搬送されるのか実態調査を行った。意識障害、ニアミス症例に関しては、個別に詳細を調査した。【結果】松山市の人口約50万人、出生数約4500人で、救急搬送は全体で年間平均およそ2万人、小児の搬送数は約1700人であった。10年間で学校管理下の緊急搬送は1060件で、そのうち心肺蘇生を必要とした症例は年に1~3人であった。男児は小、中、高と増加し、女児は中学校が最も多かった。事故種別は急病が最多で、2位が運動競技。男児はグランドからの緊急搬送が一番多く、女児は校舎、体育館の順であった。時間帯は9~12時および15~18時にピークがあり、部活動中に最も多いが、怪我以外で救急搬送される件数は午前中に多かった。【考案および結語】松山市には、小・中・高合わせて104校あり、各学校におよそ年に1回救急車が要請されている頻度で、日常からの準備が必要であることが示された。従来の報告同様、運動強度との関連があり、部活動中に救急症例の発症が有意に多く、学校救急体制の整備において重要なポイントである。夕方遅くまで活動していたり、教職員が少ない時間帯であったり、職員室が施錠されていてAEDを用いることができないなどの事例報告もあり、改めて危機管理対策を見直す必要がある。また、登下校中の受傷例についても残された課題である。学校現場への情報のフィードバックは、小児循環器医の重要な責務である。