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[P67-06] 小児慢性特定疾病対策の登録データは小児循環器の疾病登録データベースになりうるか?
キーワード:疾病登録、小児慢性特定疾病、フォローアップ
【背景と目的】疾病登録は、遠隔期フォローアップ等のために非常に重要であるが、種々の理由により導入や運用が難しいのが実情である。厚生労働省所管の慢性疾患を抱える子ども達への医療費等支援施策である「小児慢性特定疾病対策」(小慢)は、申請者の全国的な登録データベースを構築しており、毎年10万件を超える登録が行なわれている。申請は対象疾病ごとのため、疾病登録に類似した構造となっている。長期フォローアップが必要なほとんどの小児循環器疾患が対象疾病とされていることから、小慢登録データが小児循環器領域の疾病登録となり得るかどうかの検討を行なった。【方法】平成24年度登録データを用いて、慢性心疾患群に登録されている症例の内訳について検討を行なった。【結果】全108実施主体から登録された慢性心疾患群の症例数は18,589件であった。申請時の年齢は50%が0歳であり5歳未満が70%であった一方で15歳以上が7.3%存在していた。登録症例は先天性心疾患が90.1%と大半を占め、不整脈6.2%、心筋症・心筋炎3.6%であった。先天性心疾患の病型別頻度は、ファロー四徴症15.4%、心室中隔欠損症14.5%、両大血管右室起始症7.1%、単心室症 6.5%、大血管転位症6.3%、房室中隔欠損症6.0%、肺動脈閉鎖症5.7%、大動脈縮窄・離断4.3%、三尖弁閉鎖3.0%、左心低形成2.8%であった。15歳以上での登録病名は、ファロー四徴症 14.3%、大血管転換8.0%、心室中隔欠損症7.4%、QT延長症候群5.7%、心筋症5.6%、両大血管右室起始症5.2%、単心室症4.5%、肺動脈閉鎖症4.1%、房室中隔欠損症3.8%、大動脈弁狭窄症3.1%であった。【結論】登録症例は軽症例が除かれる傾向にあるが、軽症例の少ない疾患では、過去に報告されている病型別頻度と同等であり、疾病登録が望まれる疾患については、小児慢性特定疾病の登録データは、少なくともカタログデータとして十分に利用価値があると考えられた。