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[P68-03] 臨床症状よりNoonan症候群と診断されている症例の検討
Keywords:Noonan症候群、遺伝子診断、乳糜胸
【背景】Noonan症候群は、特徴的な顔貌、心奇形、精神遅滞などを合併する先天奇形症候群である。心疾患を合併するため、小児循環器医、新生児科医によって診断されることが多いと考えられる。今回、当院で臨床症状よりNoonan症候群とされた症例について検討した。【目的】小児循環器科に通院している Noonan症候群の臨床的特徴を明らかにすること。【方法】過去5年の診療録より後方視的に検討。【結果】身体所見よりNoonan症候群と診断されたのは7症例。男女比5:2。初診時の年齢は0日から3歳11カ月で中央値は11カ月。心疾患の診断はのべHCM2例、ASD2例、VSD2例、DORV1例、PS2例、AS1例であった。そのうち、治療介入の必要がなかったものが1例で、他は内科的治療、カテーテル治療(PTA)、手術を施行されている。PSに対してPTAが施行されたが効果なくその後手術が施行された。HCMの1例ではコントロールに難渋した不整脈を合併した。心外奇形では、腎奇形、斜視、胆石、好酸球増多など多岐に渡り男児全例に停留睾丸を合併した。胎児水腫は2例で先天性乳び胸水合併は3例。精神発達遅延は現時点では2例にみられた。【考察】心疾患はよく知られているPS,HCMだけではなく多岐に渡った。HCM合併例は2例のみだが、心室肥厚が強く不整脈を合併し治療に難渋するものと、比較的軽度で外来で経過観察のみのものと臨床症状に差があった。手術症例に関しては術後胸水、心嚢液貯留に難渋することがあった。近年、Noonan症候群はその類縁疾患とともに細胞内シグナル伝達経路であるRAS/MAPKの構成分子の遺伝子異常が原因であるとされている。実際、遺伝子診断されている症例は少数であるが、これらの遺伝子異常による重症度の差がみられる可能性は容易に考えられる。今後Noonan症候群が疑われる場合、遺伝子診断によって疾患の重症度判定が可能になるかもしれない。