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[P69-01] 運動能低下と意識消失発作を主訴にcardiacMRIで診断された心臓粘液腫の12歳女児の一例
キーワード:心臓腫瘍、粘液腫、cardiac MRI
【緒言】心臓腫瘍は非常に稀な疾患で、剖検例の調査から発生頻度は0.0017-0.28%とされる。組織型により予後や治療法が異なり、各々の組織型の発生頻度も成人と小児で異なる。【症例】12歳女児。7月からテニス部の練習についていけなくなり、登下校途中で動けなくなることがあった。9月にはランニング直後に意識消失発作を認め、近医で胸骨左縁下部に収縮期雑音を指摘され当科に紹介となった。【入院後経過】心エコーで左房内に47mm×29mmの有茎性腫瘍あり、拡張期に腫瘍が僧帽弁を一部超えて心室内にせり出し、中等度の僧帽弁狭窄、僧帽弁逆流、軽度の肺高血圧を認めた。血液検査では、CRP0.34mg/dLと軽度の炎症反応上昇とDダイマー6.8μg/mL、FDP15.4μg/mLと線溶系亢進を認めた。cardiac MRIで左房を主座に中隔下部から僧帽弁前尖付近を基部とする腫瘤を認め、T2W1高信号、T1WI等信号を呈し、造影で増強効果を認めた。以上の所見から粘液腫を疑った。なお、造影CTで栄養血管は同定できなかった。また、CEA、αフェトプロテイン、NSE、Tkといった腫瘍マーカーは陰性で悪性腫瘍を疑う所見を認めなかったため、FDG-PET/CTは施行しなかった。意識消失発作の鑑別のため、頭部MRI、脳波、ホルター心電図を施行したが、異常所見は認めなかった。入院後、睡眠時低酸素血症や迷走神経反射様エピソードを繰り返し、左室流入障害の増悪が疑われたため、国立循環器病研究センターで準緊急に腫瘍摘出術を施行され、粘液腫と確定診断された。【考察】小児の心臓腫瘍は横紋筋腫が最も多い。粘液腫は成人の心臓腫瘍で最多の組織型だが、小児では稀と言われている。粘液腫は良性腫瘍だが脳梗塞や不整脈のリスクがあり、本症例のような巨大な腫瘍の場合は速やかに診断し治療することが肝要である。