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[P69-02] 先天性左室憩室の2例
Keywords:先天性心室憩室、先天性心室瘤、心臓超音波検査
【緒言】先天性心室憩室は、稀(1/200,000)な原因不明の疾患である。無症候性が多く、偶然みつかる場合が多いが、心不全、不整脈、破裂、血栓などの合併症があり、突然死する例もある。他疾患で経過観察中に発見された先天性左室憩室と考えられる2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。【症例】症例1は8歳女児。1か月健診で心雑音を指摘され、当院紹介となり、卵円孔開存症の診断でフォローされた。1歳頃から、心臓超音波検査でLVDd 38mm(143%)と左室拡大を認め、LVEF 57%と軽度の低下が認められた。5歳時の心臓超音波検査で左室心尖部が緻密化障害を伴っている様に観察され、8歳時に心尖部に瘤状形態を認め、左室拡大傾向もあり、精査目的に入院した。心臓超音波検査、心臓カテーテル検査から心尖部に収縮のある多房性の憩室を認めた。LVEDP14mmHgであり、レニン、アルドステロンの上昇を認め、ACE阻害薬を開始した。症例2は2歳女児。出生時に呻吟、多呼吸を認め、新生児一過性多呼吸と診断された。その際、心臓超音波検査で左室拡大と左室弁下組織の異常を指摘され、2ヵ月齢時に当院紹介となった。心臓超音波検査でLVDd 29mm(136%)、LVEF 67%であった。経過中、LVEFの低下を認め、2歳時に精査入院した。心臓超音波検査、心臓カテーテル検査から下後壁の領域に一部、無収縮だが、全体的に収縮のよい憩室を認めた。無治療で経過観察中である。【考察】本症例では、感染,冠動脈疾患などは、臨床経過、検査等から否定的であり、先天性心室憩室が考えられた。先天性心室瘤である場合、予後が悪くなるため鑑別が重要である。憩室の発症部位・形態・収縮様式などである程度の推測が可能であるが、確定診断には、病理組織診断が必要となる。稀な疾患であるため、治療方針が確立されておらず、定期的に慎重な経過観察を要する。