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[P70-02] 左心低形成症候群に対する両心室治療―段階的左室リハビリテーションによる治療経験―
キーワード:左室低形成、両心室治療、左室リハビリテーション
(はじめに)動脈管依存性で、大動脈弓の逆行性血流を認める症例では、左室もしくは大動脈低形成のために左心低形成症候群(HLHS)の診断がなされる。通常、HLHSは単心室治療がなされるが、それらの中にも、両心室治療が達成できる症例も存在している。今回我々はHLHS(関連疾患も含む)と診断された症例に対する両心室治療の経験を検討した。(対象と方法)出生直後の心エコーでHLHSと診断された症例のうち、両心室治療が達成できた9症例である。症例は、左右心室が心尖部まで揃って存在していることと、左室の流入血流を改善できる血行動態にあることが条件であった。先天性僧帽弁狭窄や不均衡心室を持つ房室中隔欠損例は除外した。6例にNorwood手術を初回手術(N群)として行い、3例に両側肺動脈絞扼術(Bil.PAB)を初回手術(B群)として行った。この2群に分けて比較検討した。(結果)全例遠隔死亡は認めていない。N群は全ての症例にVSDを合併し、3例に大動脈弓離断、そのうち1例が大動脈弁閉鎖であった。この群は第2期手術として全例BTシャントが行われた。B群は1例のみVSDを合併し、全例が大動脈縮窄であった。VSDのない2例において心房間交通は狭小のまま放置、もしくは半閉鎖として流入血流を確保した。両心室治療の年齢(月)はN群:B群=45±35:12±8.5でN群が待機時間が長い傾向にあった。生直後LVEDd(% of N)はN群:B群=98:68、僧帽弁輪径(MV)(% of N)はN群:B群=100:55.5、両心室直前のLVEDdはN:B=98:91、MVはN:B=94:87、術後遠隔期における左室駆出率(%)はN:B=67.3±11:69.3±2.5であった。(結語)HLHSと診断された症例においても、個々の症例に対し様々な方法で左室流入血流を促し、両心室治療が達成できる症例がある。Norwood 手術ではなく、最近の症例のように両心室治療を目指す症例においては、Bil PABはbridge to decisionとして有用であると考える。