第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

HLHS・類縁疾患

ポスターセッション-外科治療01(P70)
HLHS・類縁疾患

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
磯松 幸尚(横浜市立大学 外科治療学心臓血管外科・小児循環器科)

P70-01~P70-06

18:00 〜 19:00

[P70-04] 当院におけるHybrid治療の経験

財満 康之, 中野 俊秀, 檜山 和弘, 小田 晋一郎, 藤田 智, 渡邉 マヤ, 五十嵐 仁, 阪口 修平, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:動脈管ステント、Hybrid、HLHS

【目的】両側肺動脈絞扼術(bPAB)は大動脈弓閉塞性病変を伴う複雑心奇形に施行される有用な姑息術である。当施設ではハイリスク症例に対してbPABに加えて動脈管ステント留置を行うHybrid strategyを導入してきた.今回その成績を検討した.【対象】2014年以降に動脈管ステントを留置した15症例を対象とした。疾患はHLHS/variantが9例、IAA/CoA複合が6例であった。動脈管ステント留置手術時の日齢は10(2-137)日、体重は2.9(1.8-6.1)kgであった。また5例はbPAB後に動脈管ステント留置を行った。【方法】動脈管ステントサイズの決定は、術前CTや術中造影下の実測による計測に基づき動脈管径±1mmを目安し、主肺動脈へシースを挿入し術中造影を行いながら留置部位を決定した。 【結果】術中の合併症はなく手術死亡や待機死亡も認めなかった。12例(80%)は術後自宅退院した。留置直後の経胸壁心エコーでは、動脈管ステント内の流速は1.18±0.51 m/s(15例)、右肺動脈の流速3.53±0.3m/s、左肺動脈の流速3.53±0.2m/sであった。ステント内の流速の経時的変化は、1か月後1.7±0.75 m/s(15例)、3か月後1.97±0.47 m/s(7例)、6か月後2.38±0.23 m/s(5例)であった。3.8±2.7か月後の心カテデータでは、ステント圧較差7.56±8.6mmHg、PAI 162.7±63.5であった。HLHS/variantの9例のうち2例は2±1.0か月後にNorwood手術(NW)を施行しており、その内1例は5か月後に両方向性Glenn手術(BDG)へ到達した。4例は6.6±4.0か月後にNW+BDGを施行し、3例は待機中である。IAA/CoA複合の6例のうち2例は9.5±2.5ヶ月後、体重6.7±0.06kgで両心室修復を施行しており、4例は待機中である。なお第二期手術後のreCoAは認めていない。【結語】bPABと動脈管ステントを併用したHybrid治療は安全でかつ有用な方法である。ハイリスク症例には良い適応となる術式である。