第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

弁形成・弁置換術

ポスターセッション-外科治療02(P71)
弁形成・弁置換術

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
小出 昌秋(聖隷浜松病院 心臓血管外科)

P71-01~P71-06

18:00 〜 19:00

[P71-02] 腱索断裂による乳児急性僧帽弁逆流に対する外科治療の経験

前川 慶之1, 河田 政明1, 吉積 功1, 宮原 義典1, 片岡 功一2,3, 佐藤 智幸2, 岡 健介2, 古井 貞浩2, 松原 大輔2, 安斉 達也2 (1.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児・先天性心臓血管外科, 2.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科, 3.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児集中治療部)

キーワード:腱索断裂、僧帽弁逆流、乳児

【はじめに】腱索断裂による乳児急性僧帽弁逆流(AMRI)は本邦に特異的に見られ、急速な状態悪化から緊急手術を要する例が多く、予後は必ずしも良好ではない。【対象】2011~2015年に緊急手術を行った2例のAMRIにつき報告する。対象は生後5か月、6か月児(男女1/1)、手術時体重6.4kg、7.6kgであった。1例はVSDの診断にて経過観察中であった。数日間の上気道感染様症状に引き続き、急激な呼吸循環動態の悪化を認め人工呼吸器管理を要した。入院後まもなく緊急手術となった。【手術】症例1(男児、VSD合併、6.4kg):後尖P2-3および前尖A2の広範囲腱索断裂のため弁修復は困難でSJM17弁による弁置換を要した。狭小弁輪のため左房内へのtranslocation手技を用いた。症例2(女児、7.6kg):後尖P1中心の腱索断裂のためPTFE人工腱索(CV-6糸)1対、edge-to-edge、片側Kay-Reed交連縫縮を行った。いずれも腱索、周辺弁組織は浮腫状であった。疣贅の付着は見られなかった。術後急性期の経過は急速に循環動態の安定が得られた。【術後経過】MVR例で術後2か月時、Warfarin、aspirin服用下の人工弁血栓形成による機能不全は大量Urokinase療法により改善が得られ、以後ticlopidine追加併用管理にて再発なく経過している。現在6歳(18kg)で心エコー評価では最大人工弁通過血流速度2.0m/secで大きな変化なく、PH所見もない。弁形成例では軽微な残存Mrが見られ、経過観察中である。病理学的検索では好中球・リンパ球の浸潤、粘液腫様所見が見られたが細菌の検出はなかった。いずれの例も神経学的後遺症は見られていない。【考察とまとめ】AMRIは緊急手術を要するものの適切な対応で術後経過は概ね良好で、上気道炎などの非特異的症状に引き続く循環動態悪化例では念頭に置くべき疾患である。