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[P72-02] 肺動脈閉鎖を伴う重症Ebstein奇形 に対する治療戦略
キーワード:Ebstein奇形、肺動脈閉鎖、Starnes手術
【目的】肺動脈閉鎖を伴う重症Ebstein奇形 (Ebstein/PA)の治療戦略を検討する。【対象と方法】2008年7月~2014年12月に当科で手術介入を行ったEbstein/PA 4例を対象とし,その治療経過を後方視的に検証した。【結果】全例胎児診断あり。自然分娩は1例で,3 例が帝王切開(うち1例は胎児水腫進行により緊急手術)。平均在胎期間39週2日。平均の生下時体重(BBW)2.9±0.6kg。4例中3例は平均生後2.3日でStarnes手術施行。1例は生後1ヶ月時に,人工心肺非使用下のrt. B-T shunt 及び右房・右房化右室縫縮術を先行させ,その1ヶ月後にStarnes手術を施行した。Starnes手術第1例目は,三尖弁閉鎖パッチに開けた径4mmのfenestrationが自然閉鎖し,著明に拡張した右室が左室を圧排し心不全を惹起したため,術後5ヶ月目に再fenestration作製術を要した。この際,再閉鎖予防目的に,パッチに開けたfenestrationにePTFEグラフト(4mm)を内挿した。以後のStarnes手術3例では本法を採用し,全例両方向性グレン手術(BDG)時点で開存が確認された。肺動脈の成長に関しては,新生児期にStarnes手術を施行した症例のうち,1例は追加手術なくBDGに到達。BBW2.5kg未満の2例は肺血管の発育が悪く,BDGまでに追加B-T shunt もしくはshunt のサイズアップを各々2回ずつ施行した。B-T shuntを先行した症例(BBW3.3kg)は,術後1ヶ月時にPDA閉鎖に伴う左肺動脈の閉塞が判明。Starnes施行時に左肺動脈形成術を併施したものの、BDG時においても左肺動脈の成長が悪く、IPAS (BDG, lt.B-T shunt)を施行した。【結論】胎児診断からの適切な手術介入により,全例BDGまたはIPASまで到達し得た。 生下時低体重症例ではFontan手術に向けて,肺動脈の成長を促すためにBDGまでに付加的手術介入の必要が生じた。Fenestrationを目的としたgraft内挿術はRV isolation後の再拡大を予防し得る有効な方法であることが示唆された。