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[P72-03] 出生前診断された高度共通房室弁逆流を伴う多脾症に対して,3度の弁形成術を行いFontan型手術まで到達した1例
Keywords:Heterotaxy、単心室、弁形成
【背景】Heterotaxyの単心室治療における共通房室弁逆流(CAVVR)は予後を大きく規定する.胎児期あるいは新生児期から逆流を指摘され,治療介入自体が問題となる症例も存在する.我々は胎児期に逆流を指摘されたが,3度の弁形成を経てFontan循環まで到達した1例を経験したので報告する.【症例】Polysplenia,SA,SRV,CAVV,DORV,BLSVC,AIVCの男児.28週時の胎児エコーで高度のCAVVRを認め,不良な生命予後が予測され,積極的な治療介入を行わない方針となった.在胎40週6日,他院にて経膣分娩で出生しApger scoreは8/8.出生後,高度弁逆流による心不全を呈したが(BNP=2076pg/mL,CTR=77%),治療介入可能と判断し日齢3で当院に搬送,日齢6で肺動脈絞扼術施行.弁逆流は改善し術後1か月で退院.しかし弁逆流は再び増悪し4か月時に共通房室弁形成術(CAVVP)(Edge-to-edgeによる二弁口化,Gore-Tex stripによるinter-annular bridge)を施行.術後に逆流は軽減したが,同一入院中に再増悪を認め,6か月時にGlenn stageに進んだ(TCPS).軽度の弁逆流で退院したが,その後も逆流のコントロールに難渋し,1歳時にLVOTO解除と同時に2度目のCAVVP(小孔2か所を縫合閉鎖),1.8歳時にf-TCPCとLtPVO解除と同時に3度目のCAVVP(弁尖の心膜補填,minor orificeの縫合閉鎖)を要した.術後,乳糜胸水の治療に難渋したが2か月で退院(CVP=10mmHg,SpO2=97%).4.4歳時のカテーテル検査では,有意な房室接合部調律の上,LtPVOの再進行と高いFontan圧(20mmHg)を認めた.4.7歳時にPMIとLtPVO解除を施行.この時には房室弁への介入は不要であった.最後のCAVVPから3年経過するが,1度のCAVVRでフォローされている.【結論】本症例は,胎児期に高度の弁逆流のため,厳しい生命予後が予想されたが、頻回にわたる積極的なCAVVPを経て,TCPCに到達し,中期にわたって弁逆流を制御できている.