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[P72-05] 肝静脈分離還流を合併した多脾症候群、下大静脈欠損の一例
キーワード:Fontan、肝静脈分離還流、多脾症候群
【背景】機能的単心室症例において肝静脈分離還流を合併した場合、IVC reroutingに工夫を要する。肝静脈分離還流はheterotaxy syndromeに合併しやすいが、polyspleniaでの合併の報告は少ない。稀な症例であり、手術方法を含めて報告する。【症例】多脾症候群、房室中隔欠損、両大血管右室起始症、肺動脈弁狭窄、右側大動脈弓、両側上大静脈、下大静脈欠損、半奇静脈結合、肝静脈分離還流。2ヶ月(3.8kg):肺動脈バンディング術、9ヶ月(5.7kg):TCPS+CAVVP施行。RSVC及びLSVCはV字型に寄せて、前面にePTFE patchを補填した。severe CAVVRに対して10ヶ月:機械式人工弁ATS24mmによるCAVVR施行。1歳9ヶ月(10kg):14mm ePTFE graftによるhepatic vein(HV) reroutingを施行。上行送血、心房脱血、LSVC脱血及びLHV脱血による3本脱血により人工心肺を確立。RSVC及びRHVは単純遮断とした。心停止下に左右HV開口部をひとまとめにしてen blocに切離、14mm ePTFE graftを選択、HVと吻合した。PA側は前回TCPS時に補填したePTFE patchに切開を加えて吻合、心外導管によるhepatic vein reroutingとした。術後肝機能障害の出現なく、中心静脈圧は11mmHgとFontan循環は良好に成立、特に大きな合併症なく経過している。【まとめ】肝静脈分離還流を合併した多脾症候群、下大静脈欠損の一例に対してhepatic vein reroutingを行い、良好な結果を得た。初回手術時から最終手術のreroutingを考慮した手術構築が重要と考えた。