第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

冠動脈・心不全

ポスターセッション-外科治療04(P73)
冠動脈・心不全

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
井村 肇(日本医科大学 武蔵小杉病院)

P73-01~P73-05

18:00 〜 19:00

[P73-01] 顕微鏡下小児冠動脈バイパス手術の中期成績

中山 祐樹1, 岩田 祐輔1, 奥木 聡志1, 竹内 敬昌1, 桑原 直樹2, 後藤 浩子2, 面家 健太郎2, 山本 哲也2, 寺澤 厚志2, 桑原 尚志2, 江石 清行3 (1.岐阜県総合医療センター 小児心臓外科, 2.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科, 3.長崎大学医学部 心臓血管外科)

キーワード:顕微鏡下冠動脈バイパス手術、小児、虚血性心疾患

【背景・目的】高度冠動脈狭窄を有する小児に対し、治療に難渋することがある。小児に対する冠動脈バイパス手術は技術的に難しく、またその術後成績は不明である。しかし、我々は顕微鏡を用いることで積極的に小児に対し冠動脈バイパス手術を施行している。顕微鏡下冠動脈バイパス手術を施行した小児4例を後方的に分析し、その手術成績を評価した。【方法】2012年から2015年までに顕微鏡下冠動脈バイパス手術を施行した小児4例を対象とした。手術時年齢は1.1歳(0.3歳~2.6歳)、体重は7.2kg(4.0kg~15.4kg)。疾患の内訳は2例Jatene手術後左冠動脈狭窄、1例高度心機能低下(EF33%)を伴うLMT高度狭窄、1例川崎病後冠動脈瘤合併左冠動脈狭窄。全例人工心肺心停止下に手術用顕微鏡(Carl Zeiss社製)を用い10-0ナイロン単結紮縫合で冠動脈再建を施行。顕微鏡の拡大率は3.5~20倍を用いた。2枝血行再建(LITA-LAD吻合とFree graft RITA-OM吻合)を1例(高度心機能低下を伴うLMT高度狭窄)に, 1枝血行再建(LITA-LAD吻合)を3例に施行。また同時手術として1例末梢肺動脈形成を施行。【結果】 血行再建後インドシアニングリーン蛍光血管撮影で全例Graftの開存を確認。心停止時間は78分(41分~115分)。術後49日目(10~234日目)に全例軽快退院。経過観察期間は1.6年(0.4~3年)。術後造影検査を3例に行い、全例LITA-LADは開存。1例(Jatene手術後左冠動脈狭窄)に冠動脈バイパス手術2年後冠動脈狭窄の改善を認めた。1例造影検査待機中。全例術後致死的不整脈は確認されなかったが、高度心機能低下していた1例が遠隔期に突然死した。生存する3例に術後負荷心筋シンチで心筋虚血は認めず、またBNPは術前747pg/ml(72~3788)から28pg/ml(25~45)まで改善した。また、術後心不全や心筋梗塞等のイベントは認めなかった。【結論】小児冠動脈狭窄症例に対し顕微鏡を用いた冠動脈バイパス手術は確実な開存性が保たれる有効な手段であると考えられた。