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[P73-04] 小児心臓移植2例の経験
Keywords:小児、心臓移植、拡張型心筋症
これまで拡張型心筋症(DCM)の小児は、海外渡航心移植しか救命の道はなかった。2010年7月の臓器移植法改正以降、はじめて国内での小児の移植が可能となった。当院では、2015年10月に2例の小児心移植を経験したので詳細に報告する。【症例】1.1歳男児、体重8.4kg。他院でDCMと診断され、強心剤などの投与を受けていたが離脱困難なため移植登録となった。2.15歳女児、体重38kg。新生児期からDCMの診断を受け、内服薬治療を受けてきた。12歳時に循環動態の悪化を認め、緊急でECMOの装着を行った(内頚動静脈アプローチ)。約1週間後にExcor(30cc)の植え込みを行い、以降2年2か月を国内で移植待機した。本症例は、送脱血管皮膚貫通部の感染を併発し、長期の抗生剤静脈内投与と内服治療を継続した。【結果】症例1.手術はmodified bi-caval法で施行。手術時間 182分、ポンプ時間 96分、大動脈遮断時間 69分、ドナー心虚血時間 144分。翌日抜管で3日目にPICU退室。1,2,4週間後の心筋生検でいづれもGrade 0。32日目に退院した。症例2.手術法は症例1と同様。手術時間 400分、ポンプ時間 153分、大動脈遮断時間 83分、ドナー心虚血異時間 252分。翌日抜管で経過順調であったが、8日目に意識消失、間代性痙攣が出現し再挿管。タクロリムスによる脳症と診断し、ネオーラルへ変更した。9日目に再抜管しその後の経過は順調であった。送脱血管抜去部はVAC療法の後、創閉鎖行った。【考察および結語】1.国内での小児心移植を2例経験した。2.LVAD(Excor 30cc)装着した症例は、2年以上の待機期間を要した。3.LVADの送脱血管皮膚貫通部の感染に対しては、長期の抗生剤投与を必要とした。4.送脱血管抜去部へのVAC療法は非常に有効であった。