The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

冠動脈・心不全

ポスターセッション-外科治療04(P73)
冠動脈・心不全

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
井村 肇(日本医科大学 武蔵小杉病院)

P73-01~P73-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P73-05] ノーウッド兼ラステリ術後遠隔期に虚血性心筋症を発症した経管栄養児

吉兼 由佳子 (福岡大学医学部 小児科)

Keywords:チャージ症候群、ディジョージ症候群、低栄養

【背景】虚血性心筋症は、成人において広範な冠状動脈病変に基づく左室壁運動のびまん性低下が原因となる心機能低下により慢性心不全を呈する疾患である。今回我々は、基礎疾患による経管栄養児で先天性心疾患術後遠隔期に虚血性心筋症発症し死に至った小児剖検例を報告する。【症例】7歳男児。基礎疾患としてディジョージ症候群、チャージ症候群があり、嚥下障害による経管栄養、発育不良、精神運動発達遅滞がある。新生児期に両大血管右室起始症及び大動脈離断の診断でノーウッド兼ラステリ手術を受け、発育に伴い、肺動脈として置換している人工血管の狭窄逆流が進行していた。今回、感冒症状後に嘔吐を主訴に当科入院した。左室駆出率50%と低下しており、CK高値、トロポニンT上昇が見られたことより心筋炎を疑い、利尿薬、PDE3阻害薬の投与を行うも十分な回復が得られず、拡張型心筋症様の病態を呈したため、β遮断薬少量投与を開始した。セレン欠乏も認め、補充するも心機能は改善せず、その後感染を契機に徐々に駆出率が低下し、治療に反応せず、発症から1年4ヶ月後に死亡した。剖検心は、両心室ともに肥大、拡張し、心筋内に陳旧性小梗塞巣が多発していた。また、検索に供した冠動脈に特記すべき異常所見は認めなかった。【考察】原因として、微細な心筋虚血を繰り返していたことが推察され、術後心の状態、長期にわたる低栄養、セレン欠乏などが病態形成に関与したと推察された。