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[P74-03] ファロー四徴症修復術は21世紀において安全な手術となり得たか?
キーワード:ファロー四徴症、ファロー四徴症修復術、周術期合併症
【背景】ファロー四徴症(TOF) 修復術は21世紀になり遠隔期成績の向上に治療の焦点が移り、執刀は若手心臓外科医へoutsourceされるようになった。この傾向は新専門医制度導入により今後更に加速すると思われるが、本手術の安全性が担保されているかは不明である。【目的】21世紀におけるTOF修復術の周術期成績を検討。【対象と方法】2001-2015年に当院で修復術を施行されたTOF兼肺動脈狭窄143例と閉鎖19例の計162例。肺血流が体肺動脈側副血行に依存するもの、房室中隔欠損合併例は除く。手術時年齢平均1.6±7.9歳。術前カテーテル検査は160/162例(99%)で施行され、左室拡張末期容積正常比は平均112±35%。執刀は延べ13人が平均12±25回施行。患者診療録より1.在院死亡、2.重篤な神経学的後遺症、およびニアミスとして3.経皮的心肺補助装置(PCPS)装着、4.術中再人工心肺(CPB)運転とその経過を後方視的に検討。【結果】CPB、心停止時間はそれぞれ平均186±64分、91±36分。1. 2例(1.2%)。1例は右室-肺動脈導管縫着時の左冠動脈損傷、他の1例は残存右室流出路狭窄に対する心筋切除時の中隔穿通枝損傷、心室中隔穿孔によると思われる左心不全。2. なし。3. 死亡2例を含む4例(2.4%)。1例は術中右室低形成が疑われ心房間短絡を残したが、低酸素性ショックを来たしPCPS装着、3日後に1.5心室修復へ移行し離脱。他の1例は低形成分枝肺動脈による右室圧高値残存例で、VSDパッチを外しPCPS導入、4日後に両側肺動脈再形成、再右室流出路再建(RVOTR)施行し離脱、VSDは9ヵ月後に再閉鎖。4. 上記4例を含む10例(6.2%)。CPB離脱後右室圧高値に対する再RVOTR5例、CPB離脱後判明した筋性部VSD閉鎖1例。【まとめ】TOF修復術は21世紀においても死亡・ニアミス症例はゼロでなかった。若手心臓外科医の執刀に際しては、術前未診断病変顕在化に対処できる術野体制と冠動脈損傷を回避できる術中判断・運針技術が前提と考えられた。