18:00 〜 19:00
[P74-05] ファロー四徴症の右冠動脈起始走行異常に関する検討
キーワード:ファロー四徴症、冠動脈異常、右室流出路
【背景】ファロー四徴症(TOF)における冠動脈異常として,左前下行枝の右冠動脈起始が約5%に認められるとされているが,右冠動脈に関する報告はほとんどみられない.【目的】右冠動脈の起始走行について画像検査から評価し,TOFに特有の解剖学特徴の有無を明らかにする.【方法】当院でTOFと診断され造影CT検査で冠動脈の起始を評価可能な 30例(T群)について検討した.なお,コントロール群として正常大血管関係25例(C群)と比較検討した.CT画像において大動脈中心を基準点に正中を0°として体幹に対する角度と大動脈軸に修正した角度を計測した.【結果】検査時平均体重T群16.2±18.1kg, C群11.3±13.9kg.診断はT群でTOF, PS18例,TOF, PA 11例,absent PA valve 2例.T群でLAD from RCA1例,single coronary1例を認めた.T群の9例(30%)に55°以上のRCA左方起始を認め,うち1例で術後遠隔期のRV-PA導管と大動脈間圧迫が原因と推測されるRCA閉塞,3例に同様のRCA起始走行異常を認めた.T群で90%が体幹に対して正中左,C群で60%が正中右から起始し,RCA角度(°)はT群30.1±24.7, C群-9.6±18.4 (p=0.0001)であった.同様に大動脈軸でもT群25.8±24.7, C群-16.0±16.3,左右大動脈弁交連角度(°) T群94.8±17.8, C群68.4±15.6,大動脈肺動脈弁角度(°) T群80.6±21.3, C群52.5±19.6に有意差を認め,また RCAの93%は右冠尖中央から起始していた.さらにTOF, PA群とTOF, PS群では,大動脈軸でも27.1±9.5, 75.8±14.5(p=0.0001)とTOF, PA群でRCA起始の左方偏位が大きかった.【考察】TOFのRCA左方起始は,大動脈がCT画像上でclockwiseに回転偏位した形態となっていることが主因と考えられた.【結語】TOFの解剖学的特性から,著しいRCA左方起始やTOF, PA症例の症例では,RVOTR遠隔期の冠動脈合併症に対する考慮が必要で,再手術,カテーテルバルーン拡大時にも注意を要すると考えられた.