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[P75-02] 二心室修復に向けた複雑心奇形に対するBilateral PA banding(Bil.PAB)を用いた段階的修復術の成績
キーワード:二心室修復、staged surgery、CoA/IAA complex
【背景】当院では二心室修復が可能と判断した大動脈縮窄・離断複合(CoA/IAA complex)、総動脈幹症(Truncus)に対し、新生児期の人工心肺装置使用を回避する為、Bil.PABを施行し、必要な症例にはbanding部位へのballoon dilatationを行い、その後二期的に修復術を行う段階的修復術を採用してきた。今回は我々の施設での成績を報告する。【対象】2007年10月から2015年12月までに、二心室修復が可能と判断され、Bil.PABを施行したCoA/IAA complex、Truncus症例21例を対象とした。【結果】CoA/IAA complex17例、Truncus4例であった。CoA/IAA complex17例のうちVSD以外の合併心奇形はDORV3例、AVSD2例、左室流出路狭窄5例であった。全例正期産児であり、低出生体重児は4例であった。Bil.PAB施行時平均日齢10.1±6.4日、平均体重2.8±0.4kgであった。経過中catheter interventionによるbanding部位のballoon dilatationを8例に施行した。左室流出路狭窄を合併した5例に対してはNorwood型手術を介在させ、4例がRastelli型手術を終了した。右室低形成(RVEDV 46.8% of normal)を認めた1例は単心室修復適応と判断しFontan手術へ到達した。CoA/IAA complex群17例のうち16例が最終修復術へ到達した。1例はDORV症例で、現在arch repair+main PA bandingまで終了しており、二心室修復待機中である。Truncus群では2例がRastelli手術終了しており、2例がBil.PAB後の経過観察中である。手術死亡ゼロであった。【結語】Bil.PABを用いた段階的修復術は新生児期の人工心肺使用に伴う侵襲を回避でき、二心室修復を目指す複雑心奇形に対しても有用な術式であると言える。今後は高次脳機能評価を行い、その有効性について検討したいと考えている。