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[P75-03] 修正大血管転位症に対する解剖学的修復を目指した肺動脈絞扼術:適切な左室トレーニングを探す
Keywords:修正大血管転位、解剖学的修復、肺動脈絞扼
修正大血管転位 (ccTGA)に対する解剖学的修復(DSO)には体循環を担う十分な能力を持った左心室が必要である。心室中隔欠損(VSD)ないし左室流出路狭窄を合併しない場合、その左室能は出生後経時的に低下する。DSOを目的とし肺動脈絞扼(PAB)で左室をトレーニングする段階的治療が行なわれている。当科で経験したPABトレーニング症例の経過を振り返り、適切なPABの時期・期間・解剖学的特徴などを検討した。【PAB】Swan-Ganz Cathを用いて、左室圧/体血圧=0.55-0.6を目標とする。TEEでseptal shiftおよびTRの減少を確認しつつ, A-lineモニターで圧波形の変化などLOS傾向を観察しながら絞扼を強化。強心剤を併用。【DSO】心臓カテーテルにて左室/右室圧(LV/RV)=1.0, MRIにて左室心筋重量(LVmass) =50g/m2をDSOへの目標参考値とする。【症例1】IDD-dextro, Ebstein/severeTR, ASD. 6歳5ヶ月: PABのみではチアノーゼ出現するためASD閉鎖を追加。10歳11ヶ月: LV/RV=0.78, LVmass=43.3g/m2. 観察継続中。【症例2】SLL-levo, Ebstein/moderateTR, PAPVC-(右上肺静脈). 1歳3ヶ月: PAB. 2歳2ヶ月: LV/RV=1.1, LVmass=50.9g/m2. 2歳9ヶ月: Senning+Jatene。術後4年: 心機能良好/運動制限なし/服薬なし。【症例3】SLL, levo, mildTR. 11ヶ月: PAB. 2歳0ヶ月: LV/RV=0.81, LVmass=43.3g/m2, 2歳9ヶ月: LV/RV=1.2, LVmass=49.6g/m2. 3歳3ヶ月: Senning+Jatene。術後1年: 心機能良好/運動制限なし/服薬なし。【症例4】1歳7ヶ月: SLL, levo, Ebstein/mildTRに対してPAB. 3歳1ヶ月: LV/RV=0.94, LVmass=40.0g/m2 (Echo 55.3g/m2 ). DSOを検討中。【考察】PAPVCを合併した症例と1歳以下でPABをした症例は速やかに心筋重量・圧ともに上昇し早期に解剖学的修復をし得た。6歳の症例は心筋重量・圧の上昇に乏しく再PABを要する可能性があるがその適応は慎重を要する。トレーニング後の左室能は長期にわたり慎重に経過観察する必要がある。