13:50 〜 14:40
[P75-04] バルーン心房中隔裂開術無効例に対する体外循環非使用下の心房中隔切除術
キーワード:atrial、septectomy、septostomy
【背景】
新生児・乳児期に心房間交通が必須の先天性心疾患において、バルーン心房中隔裂開術(BAS)無効例を時に経験する。そのような症例の中で、全身状態を考慮して体外循環を回避しつつ、心房中隔切除を行った2例を経験したので報告する。【症例】
症例1は3カ月(体重3.7kg), 男児。三尖弁閉鎖1a型, 多発奇形症候群で脳萎縮を合併しており、BTシャント術後に心房間の狭小化により循環不全と全身浮腫著明であり、体外循環を避けたい状態であった。BASを試みたものの不成功であり、緊急的に開胸下に心房間の拡大術を施行した。胸骨再正中切開でアプローチし、右房壁に2重にタバコ縫合を掛け、100単位/kgのヘパリン静注と頭低位のポジションで、心表面エコーガイド下に小児腹腔鏡用の鉗子(KARL STORZ, 30310MHS)を心房内に挿入し、卵円孔から把持部分の片端を左房に入れ、卵円窩部分を把持した。組織を牽引して周囲組織を把持していないこと、心房側壁を触診して壁を把持していないことを確認し、引きちぎるように心房中隔組織を切除し、検体を心房外に摘出した。心表面エコーで十分な心房間交通があることを確認し、手術終了とした。
症例2は日齢10(体重3.2kg), 男児。心房間狭小化を伴う左心低形成症候群であり、生後より2度のBAS施行するも心房間交通狭小化あり。開胸下に症例1とほぼ同様に心房中隔組織の切除と両側肺動脈絞扼術を施行した。
両症例共に、術後は十分な心房間交通を確保し、脳梗塞含めた合併症なく良好に経過。
【考察】
心拍動下の心房間拡大法は種々のデバイスによる方法が報告されているが、本鉗子による方法はエコーガイド下に心房間組織の把持状態を確認して切除でき、周囲組織の損傷のリスクを最小限にできると考えられた。切除組織は問題なく心房外に摘出可能であった。心房間交通の拡大を要する症例の一部に対して有効な方法の1つと考えられた。*緊急手術であったため、小児腹腔鏡用の鉗子を心腔内に用いること(目的外使用)の倫理審査委員会の承認を事後に得た。
新生児・乳児期に心房間交通が必須の先天性心疾患において、バルーン心房中隔裂開術(BAS)無効例を時に経験する。そのような症例の中で、全身状態を考慮して体外循環を回避しつつ、心房中隔切除を行った2例を経験したので報告する。【症例】
症例1は3カ月(体重3.7kg), 男児。三尖弁閉鎖1a型, 多発奇形症候群で脳萎縮を合併しており、BTシャント術後に心房間の狭小化により循環不全と全身浮腫著明であり、体外循環を避けたい状態であった。BASを試みたものの不成功であり、緊急的に開胸下に心房間の拡大術を施行した。胸骨再正中切開でアプローチし、右房壁に2重にタバコ縫合を掛け、100単位/kgのヘパリン静注と頭低位のポジションで、心表面エコーガイド下に小児腹腔鏡用の鉗子(KARL STORZ, 30310MHS)を心房内に挿入し、卵円孔から把持部分の片端を左房に入れ、卵円窩部分を把持した。組織を牽引して周囲組織を把持していないこと、心房側壁を触診して壁を把持していないことを確認し、引きちぎるように心房中隔組織を切除し、検体を心房外に摘出した。心表面エコーで十分な心房間交通があることを確認し、手術終了とした。
症例2は日齢10(体重3.2kg), 男児。心房間狭小化を伴う左心低形成症候群であり、生後より2度のBAS施行するも心房間交通狭小化あり。開胸下に症例1とほぼ同様に心房中隔組織の切除と両側肺動脈絞扼術を施行した。
両症例共に、術後は十分な心房間交通を確保し、脳梗塞含めた合併症なく良好に経過。
【考察】
心拍動下の心房間拡大法は種々のデバイスによる方法が報告されているが、本鉗子による方法はエコーガイド下に心房間組織の把持状態を確認して切除でき、周囲組織の損傷のリスクを最小限にできると考えられた。切除組織は問題なく心房外に摘出可能であった。心房間交通の拡大を要する症例の一部に対して有効な方法の1つと考えられた。*緊急手術であったため、小児腹腔鏡用の鉗子を心腔内に用いること(目的外使用)の倫理審査委員会の承認を事後に得た。