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[P76-02] フォンタン手術後の遠隔成績と予後規定因子の検討
キーワード:Fontan、遠隔成績、予後因子
【目的】機能的および解剖学的単心室症例に対する段階的Fontan(F)手術の遠隔成績が向上する一方,遠隔期の問題点も明らかとなってきている. F術後の遠隔期成績の検討と予後規定因子の分析を行った.【対象】対象は1997年8月~2015年10月に施行したF術全127例中, 段階的にF術に到達した116例. F術施行時の年齢2.5±1.8歳, 体重10.8±3.9kg. 肺動脈形成は先行手術時65例, F術時25例に, 房室弁形成は先行手術時27例, F術時22例に併施. 今回,遠隔期心カテおよび血液検査所見を中心にF術後遠隔成績について検討した.【結果】F術前の検査所見はPAP 12.9±3.7mmHg, Rp 1.6±0.8WU, PAI 304.6±110.3mm2/m2, SaO284.0±4.2%, 主心室EF 61.4±9.3%, AVVR 1.2±0.9度, BNP 29.9±25.9pg/ml, hであった. F術後観察期間は6.6±4.0年(最長16.3年). 手術死1例(心不全), 遠隔死7例(心不全3, 呼吸不全2, 不整脈1, 脳出血1), PLE 3例(うち死亡1例). 生存例のうち遠隔期心カテ施行90例でEF 61.7±7.8%, VEDP 8.0±3.2mmHg, PAP 12.8±3.3mmHg, Rp 1.4±0.6WU, AVVR 1.0±0.8度. 血液検査はBNP 13.4±13.3pg/ml, AST 36.9±8.7IU/L, ALT 22.9±8.5IU/L, γ-GTP 60.2±53.3IU/L. 肝線維化マーカーはIV型コラーゲンLA 243.2±76.2ng/ml, IV型コラーゲン7S 7.1±1.6ng/ml, ヒアルロン酸 32.5±25.1ng/mlであった. 遠隔期PAPとF術前のPAP (r=0.220, p<0.05)およびPA index ratio(左右のPAI比: r=0.245, p<0.05)との間にそれぞれ弱いながらに正の相関が見られ, 遠隔期におけるPAP規定因子のひとつと考えられた. 【考察】F術前のPAP高値および左右肺動脈の成長不均等はF術後遠隔期のPAP上昇の危険因子となり予後にも影響を及ぼしうると考えられるため,Fontan pathwayにおいて早期から積極的な肺血管因子の適正化と左右均等な肺動脈発育を目指した治療戦略が必要である.