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[P79-01] 気管切開管理下の18および13トリソミー乳児の開心術の経験
キーワード:気管切開後開胸術、18トリソミー、13トリソミー
【背景】未だ倫理的賛否両論はあるものの、手術適応がないとされてきた18トリソミー(T18)や13トリソミー(T13)に合併した比較的単純な心室中隔欠損(VSD)等の先天性心疾患の外科的介入により生命予後、QOLが改善するとの報告が散見され、手術を希望する両親が増加している。当院ではVSD閉鎖を目標とし、肺動脈絞扼術(PAB)を先行する二期的介入を行っている。VSD閉鎖前に気管切開管理となる頻度が高いことが特徴であり、その状況下での開心術を余儀なくされる。その臨床像と手術時の工夫について文献的考察を加え報告する。【対象・方法】2012年から2016年に経験した7例(男児3例、女児4例)、T18は6例、T13は1例であった。VSDに合併する心病変はASD5例、PDA7例、mild CoA1例。他臓器の合併奇形は臍ヘルニア、臍帯ヘルニア、脊髄髄膜瘤、口唇口蓋裂、新生児慢性肺疾患をそれぞれ1例。手術は麻酔導入後に経口挿管に変更し、気管切開孔にガーゼを充填して自然閉鎖を予防。胸骨は柄部を温存し、体部のみ切開し(T字状切開)、通常の心内操作を実施する。術翌日~翌々日に気管切開からの呼吸管理に戻した。【結果】6例で術後一過性の肝酵素上昇を認め、うち1例で血漿交換を要した。1例で重症肺高血圧による低酸素血症にECMO装着を要したが離脱した。その他、縦隔洞炎や手術死亡は無く、全例退院し、現在も生存、全例で退院時在宅酸素療法が必要であったが、うち1例では呼吸器管理が不要となった。【結語】退院後の適切な在宅管理のサポートの下、T18、T13に合併したVSDの段階的外科的治療は再現性のある成績で成立すると考えられた。更なる長期観察による客観的データの供出で患児両親の決定を尊重することが可能になると考えられた。また、気管切開下の乳児であっても開心術における工夫により縦隔洞炎等、重症な合併症のない周術期管理が可能であった。