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[P79-02] 先天性心疾患に合併した気道圧迫病変に対する肺動脈前方転位術
キーワード:気道狭窄、肺動脈前方転位術、人工呼吸離脱困難
【背景と目的】先天性心疾患に伴う気道圧迫病変は時に呼吸管理を困難にする周術期合併症のひとつである。肺動脈前方転位術により気道狭窄の改善、人工呼吸器離脱をなし得た3例を経験したので報告する。【方法】診療録をもとに、とくにCT画像を中心に手術介入による気道病変の変化、臨床経過を検討した。【結果】【症例1】36週1.8kgで出生。心室中隔欠損VSD、右鎖骨下動脈RSCA起始異常の診断で生後2ヵ月、主肺動脈絞扼術施行。術後、人工呼吸管理が長期化。左肺動脈と下行大動脈間で左気管支狭窄あり。生後4ヵ月、VSD閉鎖、肺動脈絞扼解除術施行。その後も気道病変改善なく生後6ヵ月、肺動脈前方転位、RSCA再建術施行。生後9ヵ月、人工呼吸器を離脱した。【症例2】40週3.4kgで出生。生後4ヵ月、大動脈縮窄複合、左無気肺の診断で大動脈弓修復(直接吻合)、VSD閉鎖、大動脈つり上げ術施行。術後、人工呼吸器離脱困難、左気管支狭窄に対し術後10日、大動脈弓心膜再建、肺動脈前方転位術施行。気道狭窄改善し人工呼吸器を離脱した。【症例3】39週3.2kgで出生。肺動脈弁欠損、ファロー四徴症の診断で生後1日、左肺動脈絞扼術施行。生後8日、心内修復術、肺動脈前方転位、肺動脈縫縮術施行。術後、気管軟化症のため人工呼吸管理が長期化。生後5か月、肺動脈の再拡大による気管狭窄に対し、再右室流出路形成、肺動脈縫縮術、肺動脈大動脈つり上げ術施行。生後6か月、人工呼吸器を離脱した。いずれの症例もCT、気管支鏡で気道圧迫病変の改善が認められ人工呼吸器離脱に到った。【結語】肺動脈前方転位術は先天性心疾患に合併した気道圧迫病変に対する有用な治療手段のひとつであると思われた。