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[P79-03] 小児開心術後縦隔炎に対する陰圧閉鎖療法―Zip Surgical Skin Closure併用の有用性―
キーワード:縦隔炎、陰圧閉鎖療法、Zip
【背景】Zip Surgical Skin Closure(Zip)は真皮縫合を代用する新しい創閉鎖用のデバイスである。ストラップロック方式で創を両端から寄せるため、体内に異物を残さず、皮膚の瘢痕化抑制効果等が期待されている。今回我々は小児開心術後縦隔炎に対して、陰圧閉鎖(NPWT)療法にZipを併用することで、固定性の向上と創の引き寄せ効果による創閉鎖の促進が得られ、良好な経過を得た症例を経験したので報告する。【方法】Zipは創両端に張り、NPWT療法用スポンジを創部に充填する。Zipのストラップで創を引き寄せさらにその上にスポンジ充填し、75mmHgの陰圧で治療を行った。2-3回/週の頻度でシステムを交換した。【症例1】生後2か月の男児。総肺静脈還流異常症II型と診断され、心内修復術を施行した。第13病日に縦隔炎を発症した。創を開放し、洗浄後にNPWT療法を開始した。非挿管非鎮静下であったため、NPTW下でも激しい啼泣により胸骨が動揺し不安定であったが、Zipを併用し、安定化が得られた。創部からMSSAが検出された。16日間のNPWT療法施行により良好な肉芽組織で覆われ、発症33日で完全に上皮化を得た。【症例2】生後3か月の男児。心室中隔欠損と診断され、心内修復術を施行した。術後8日目に縦隔炎と診断し、創を開放した。十分な洗浄を行い、発症2日目にZipを併用したNPWT治療を開始した。33日間のNPWT療法で良好な肉芽で覆われ、発症65日間で完全に上皮化を得た。【考察】小児では、啼泣等により成人と比べて胸骨の安定化を図ることが困難である。NPWT療法単独でも胸骨の安定化は得られるが、Zipの併用でさらなる向上が期待できる。また、創の引き寄せ効果による肉芽形成の促進により、治療期間を短縮できる可能性が示唆された。【結語】Zipを併用したNPWT療法は、小児開心術後縦隔炎治療において有効な補助デバイスになりうると考えられた。